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矢倉義之のナニワ大家道
第十回「太陽光発電の即時償却はもう出来ないのか?」

税理士の矢倉です。
ゴールデンウイークも終わり昼間はかなり暖かくなって来ましたね、5月は法人の3月決算の申告が多いことから会計事務所の業界では第2の確定申告と呼ばれており日々業務に追われています。

さて、太陽光発電の装置を購入設置すれば税制の特例で購入年度に全額を経費に計上出来る、いわゆる即時償却が出来ると言う話を聞いたことがある人は少なくないと思います。

(1)グリーン投資減税・生産性向上設備投資促進税制とも既に終了

これは、過去にグリーン投資減税や生産性向上設備投資促進税制と言った税制があり、その適用が受けられた場合に即時償却や税額控除と言った税制のメリットを受けられました。
しかし、グリーン投資減税、生産性向上設備投資促進税制ともに現在では廃止されています。

(2)中小企業経営強化税制

上記の生産性向上設備投資促進税制が終了と入れ替わりに平成29年4月1日から中小企業経営強化税制がスタートしました。これは中小企業等経営強化法の認定を受けた中小企業等が指定期限内に生産性向上設備や収益力向上設備を取得して指定事業の用に供した場合に即時償却又は税額控除を受けられるもので、当初は平成31年3月31日まででしたが、今年度の税制改正により令和3年(2021年)3月31日まで延長されました。

(3)売電のみを目的では即時償却出来ない。

しかし、即時償却を受けるには中小企業経営強化税制で指定されている事業を営んでいる必要があります。中小企業庁のQ&Aにはこう書かれています。

「全量売電の場合には、電気業の用に供する設備になると考えられます。電気業については中小企業経営強化税制の指定事業に含まれておらず、対象となりませんのでご注意ください。」※①

このことから売電のみを目的とした太陽光発電装置の設置では即時償却は出来ないと言うことになります。

(4)一部を指定業者に使用し余りを売電なら適用可能。

では、太陽光で発電した電気は指定事業のために全部消費しなければ即時償却は出来ないのでしょうか?
前述の中小企業庁Q&Aの続きでは

「但し、その営む事業が指定事業に該当し、全量売電ではなく発電した電気の一部をその指定事業に使用している場合(例えば製造業の工場で使用)については、対象となります。」

と書かれています。※①

つまり、何か指定事業を営んでいる業者がこの事業に使う電気を太陽光で発電し消費し、余った分だけ他へ売ると言った形態なら即時償却は可能ということになります。
しかし、売電の割合が2分の1を超えると税制の適用外となってしまいます。※②
このことから不動産賃貸で即時償却を適用しようと思えば、一応不動産業も指定事業には該当しますが太陽光発電の2分の1以上をこの事業の消費に充てなければならないので、現実的には例えば大きな一棟マンションの屋上に設置して玄関、エレベータ、廊下、管理人室等の電気に消費すると言ったケースが考えられます。

なお、個人事業で即時償却を受けるには青色申告でかつ事業的規模であることが必要な上、特段な管理をしていないと雑所得に該当されることもありますので注意して下さい。

まとめ

中小企業経営強化税制の適用を受けるには中小企業等経営強化法の認定を受ける必要があります。
そのため専門家等に相談して慎重に進めることが望ましいです。

※中小企業経営強化税制 Q&A集(AB類型共通)
①共- 23  ②共- 24

ABOUT ME
矢倉義之
矢倉義之
大学卒業後住宅メーカーに3年間勤務、その後2001年から父親が所長を務める矢倉会計事務所に勤務し、2006年に税理士登録。2010年に独立し矢倉税理士事務所開業。2016年に父親の引退に伴い矢倉会計事務所と合併し現在に至る。開業後当初は意識していなかったのですが、増えて行く顧問先企業に不動産業と建設業が多いことに気づき、住宅メーカーで勤務していた経験が活きているということと、やはり自分はこの業界のことが好きなんだなと改めて認識しました。不動産のオーナー業は提案によって税金や社会保険料が大きく変わることが面白くやりがいがあります。縁あって、当事務所と関わるお客様には最大限の提案が出来たらと思います。
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