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矢倉義之のナニワ大家道
第十三回「法人の決算月は何月がいいのか?」

個人の確定申告の相談を受けているときに法人化の話になることがよくあります。確かに個人である程度利益が出ている場合には法人を設立して利益を分散させることは節税の王道とも言えますが、そのとき法人の決算月は何月がいいのか?という問題が出て来ます。

(1)決算月とは

法人は事業年度を1年以内なら何月から何月までと自由に決めることが出来ます。この事業年度の最終月を決算月と呼びます。
日本では官公庁や大企業の多くが3月を決算月にしていますので、中小企業でもやはり3月決算にしている法人が多いです。

なお、決算月の最終日は必ずしも月末にする必要はなく何日でもいいです。中には社長やその家族の誕生日を決算日にしている法人もあります。

(2)決算日の2か月以内に申告と納税を行う

法人は決算日から2か月以内に法人税や住民税、事業税、消費税の課税事業者なら消費税、の申告と納付が必要です。そのため納税にまとまった資金が必要なため、決算月の2か月後位に賞与や仕入、外注費の支払いなどで事業資金が例年枯渇してしまうような月は避けた方が無難です。

(3)繁忙期は避けた方がいい

繁忙期には売上が上がることが予測されます。このような月は通常よりも利益が出やすいため最終的な利益予測が立てづらいという側面があります。2、3月に公共事業が集中する建設会社などは期中まではずっと赤字だったのが3月を過ぎると黒字になっていたというのがよくあります。

そのことから、そう言った月は避けて決算月を決めた方が利益、納税の予測は立てやすいと言えます。

(4)決算月は変更可能

決算月は一度決めてしまったら変更出来ないものではなく、定款を変更して税務署などへ異動届を出すことで変更することが可能です。ただし、1年を超える事業年度には変更が出来ないので、変更した年度は1年未満の期間で決算申告を行うことになります。例えば3月決算から9月決算に変更した場合、そのときの事業年度は4/1~9/30までの6か月間と言うことになります。

なお、巷の噂では決算月を変えたら融資が降りなくなるという話もありますが、これは変更年度に繁忙期を集中させてその期間、無理矢理利益を多く出して融資を受けようとした場合などに融資担当者にその思惑を見透かされたときのことなどを言っているのではないかと思われます。
融資担当者に事前に決算月を変更する正当な理由を説明して承諾を受けていれば何の問題もありません。

(5)税務調査が来ない決算月はあるのか?

個人的な話ですがある人から「〇月決算の会社は税務署の調査が来にくいよ」という話を聞いたことがあります。
では、この月を決算月にしている法人は税務調査が来ないのか?と言えば、当事務所での経験上やはり来るところはちゃんと来ます。少しは効果があるのかな?という気がしなくもないですが、税務調査が来ない決算月と言うものは無いと言えます。

まとめ

法人の決算月を何月にするのかは経営者の自由。繁忙期や、事業資金の支払いが集中する月は避けた方が無難だと思います。

ABOUT ME
矢倉義之
矢倉義之
大学卒業後住宅メーカーに3年間勤務、その後2001年から父親が所長を務める矢倉会計事務所に勤務し、2006年に税理士登録。2010年に独立し矢倉税理士事務所開業。2016年に父親の引退に伴い矢倉会計事務所と合併し現在に至る。開業後当初は意識していなかったのですが、増えて行く顧問先企業に不動産業と建設業が多いことに気づき、住宅メーカーで勤務していた経験が活きているということと、やはり自分はこの業界のことが好きなんだなと改めて認識しました。不動産のオーナー業は提案によって税金や社会保険料が大きく変わることが面白くやりがいがあります。縁あって、当事務所と関わるお客様には最大限の提案が出来たらと思います。
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