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矢倉義之のナニワ大家道
第十四回「簡易課税の事後選択特例」

簡易課税の適用を受けたかったのに既に申請期限が過ぎてしまっていた、という経験はないでしょうか?
簡易課税制度の適用を受けるには通常は事前選択なのですが、今年(2019年)の10月1日から予定されている消費税率10%への引き上げと軽減税率の導入に合わせて期間限定で事後選択の特例が創設されています

(1)簡易課税とは

消費税の納付税額は通常は、課税売上げ等に係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を差し引いて計算します、これを本則課税制度と言います。

しかし、前々事業年度の課税売上高が5000万円以下の中小企業者はその事務負担が大変なことから、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。
この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等(注)、サービス業等、不動産業及びその他の事業の6つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。

みなし仕入率

• 第一種事業(卸売業)90%
• 第二種事業(小売業)80%
• 第三種事業(製造業等)70%
• 第四種事業(その他の事業)60%
• 第五種事業(サービス業等)50%
• 第六種事業(不動産業)40%

(2)簡易課税制度は事前選択

簡易課税制度の適用を受けるには原則として適用しようとする課税期間開始の日の前日までに所轄税務署に消費税簡易課税制度選択届出書を提出しなければいけません。
このことから、決算日以後の決算申告で計算してみたら簡易課税の方が得だった、しかし今から提出しても適用はまたその次の期からというケースが結構多いです。

(3)事後選択の特例の創設

前述の通り今年(2019年)の10月1日から予定されている消費税率10%への引き上げと軽減税率の導入に伴い、売上や仕入に消費税8%と10%が混在することにより中小企業者には大変な事務負担が予想され、事務負担が軽い簡易課税制度を適用しやすいように、事後選択の特例が期間限定で創設されています。
適用出来る期間は令和元年(2019年)10月1日から令和2年(2020年)9月30日までの日の属する課税期間です。

上の図を見て頂くように、9月決算の法人はR2年9月30日までに消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、その年度から簡易課税制度が適用されます。3月決算の法人はR2年3月31日までに提出及びR3年3月31日までに提出すればそれぞれその年度から簡易課税制度が適用されます。
つまり9月決算の法人以外は2回事後選択の特例のチャンスがあることになります。
なお、前々事業年度の課税売上高が5000万円を超えている場合は消費税簡易課税制度選択届出書を提出していても本則課税制度により計算することになります。

(4)簡易課税制度を選択すると2年間は変更出来ない。

特例の場合でも通常の簡易課税制度と同様に最低2年間は簡易課税制度による消費税計算が強制されます。
その後、本則課税制度の計算方法に戻したい場合は簡易課税制度選択不適用届出書を提出しないといけません。
なお、前々事業年度の課税売上高が5000万円を超えている場合は簡易課税制度選択不適用届出書の提出の有無に関わらず本則課税制度により計算することになります。

まとめ

簡易課税制度の事後選択特例は、仕入れを税率ごとに区分することが困難な中小事業者のための特例です。
特例でも通常と同様に簡易課税制度の適用を受けると最低2年間は変更出来ませんので注意。

ABOUT ME
矢倉義之
矢倉義之
大学卒業後住宅メーカーに3年間勤務、その後2001年から父親が所長を務める矢倉会計事務所に勤務し、2006年に税理士登録。2010年に独立し矢倉税理士事務所開業。2016年に父親の引退に伴い矢倉会計事務所と合併し現在に至る。開業後当初は意識していなかったのですが、増えて行く顧問先企業に不動産業と建設業が多いことに気づき、住宅メーカーで勤務していた経験が活きているということと、やはり自分はこの業界のことが好きなんだなと改めて認識しました。不動産のオーナー業は提案によって税金や社会保険料が大きく変わることが面白くやりがいがあります。縁あって、当事務所と関わるお客様には最大限の提案が出来たらと思います。
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