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清田博之の賃貸、コレでよかろうもん
第六回「借入金の返済と相続税増額効果!?~アパートの相続税節税効果は長い目で」(その2)

ここ数日九州でも大雨が続き、心配するお声を頂きましたが、事務所がある福岡市内は大雨の影響はほとんどありませんでした。実は、福岡市では例年よりも雨が少なく、6月26日にはダムの貯水率が21%程(平年は80%程)になっていて、渇水が心配されている状況だったりします。

さて、今回は、借入金の返済と相続税の増額効果!?(その2)について書きたいと思います。

前回、アパート取得による相続税節税効果を確認しました。相続税を計算する場合には、建物は『実際の売買金額や建設にかかった金額』で計算するのではなく、通常30%~50%程低い『固定資産税評価額』を使って計算し、さらに貸家の場合は、建物は3割引で評価され、その敷地も10数%の評価減ができるため、財産額を減額する効果があります。

1.建ててから時間が経った場合の税額への影響

しかし、時間が経つとこの効果もどんどん減っていきます。例えば、返済期間20年でアパートの収益で借入金の返済が進んだ場合は、次のようになります。

(1)例えば返済期間20年の場合
(2)返済期間の長短の影響!?~▲間違った理解

では、借入金の返済期限が延びれば相続税が増えるのを抑える事ができ、返済期間が短くなれば相続税が増えてしまうのでしょうか!?

▲①借入金の返済期間が倍だった場合
借入金の返済期間が倍の40年で、10年後の借入金が7500万円だった場合

▲②借入金の返済期間が半分だった場合
借入金の返済期間が半分の10年で、10年後の借入金が0だった場合

ところが、上のようにはなりません。最初の返済期間20年の場合と比べて、▲①返済期間が倍の40年だった場合は返済に回らなかった分の預貯金が残りますし、▲②返済期間が半分だった場合は返済に回す分の預貯金が減っているはずです。

(3)返済期間の長短の影響!?~○正しい理解

○①借入金の返済期間が倍だった場合
借入金の返済期間が倍の40年で、10年後の借入金が7500万円だった場合

○②借入金の返済期間が半分だった場合
借入金の返済期間が半分の10年で、10年後の借入金が0だった場合

返済期間を倍にしても返済に回らなかった預貯金が残ってしまえば返済を進めた場合と変わらないし、逆に返済期間が半分でも返済に回す預貯金が減っているはずなので、節税効果は変わりません。
(金利負担の影響は簡略化のため省略しています。)

ただし、手許に資金が残っていれば相続税の納税資金に充てることができます。また、生前贈与等でその預貯金を減らすことができれば、その分相続財産が減りますので、節税効果が出せます。逆に、返済期間が短すぎて手元にお金が残らないと納税資金に困る事になりますし、生前贈与等の対策をする資金がない事になります。

借入を残しておいた方が節税になるんでしょう?と聞かれる事があるのですが、借入れやその返済自体には相続税の増減効果はないのです。

 

(参考)借入をしないで預貯金でアパートを建てた場合の10年後

影響額は同じ。アパートの収益が入ってくることで相続財産が増えてしまうのが増税効果の本質です。返済によって実際に預貯金が手許に残っていなくても、借入金の返済に回った分については、預貯金でその金額が残ったのと同じ相続税の増額効果があります。

 

まとめ

賃貸不動産を建てる場合は、相続税の節税効果がありますが、収益の蓄積により節税効果は薄れていきます。
賃貸不動産を所有する事による相続税の節税効果を検討される方は、現時点の相続税額だけではなく、今後の収益による税額の推移見込みにも注意をして、納税資金の準備等をしていく必要があります。相続税への影響を見る為にも長期的な事業計画が大事です。

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清田博之
清田博之
NPO法人相続アドバイザー協議会認定会員、一般社団法人家族信託普及協会会員 相続問題に力を入れており、地主さんや大家さんの相続対策のご相談にのる事が多いです。地主さんや大家さんの相続対策については、税務の知識だけでなく、経営や法律、登記、測量、鑑定、売買等の幅広い知識が必要であると感じます。依頼者に寄り添う立場で相続問題の解決に取り組む心ある弁護士さん、司法書士さん、不動産会社さん、FPさん、不動産鑑定士さん、土地家屋調査士さん、一級建築士さん達とも連携して相続問題の解決に取り組んでいます。信頼できる専門家ネットワークで大家さんの賃貸経営と相続に関するかけ込み寺になりたいと考えています。
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