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清田博之の賃貸、コレでよかろうもん 第二十三回
「相続で不動産を共有した方がトータルの税金が安くなるケース??」

ここ数年福岡市でも博多や天神周辺の路線価の上昇が大きく、来年度が3年に1度の見直しの時期なのでまた固定資産税が高くなる!?と危惧していたのですが、21年度に限っては固定資産税が増税にならないように据置する措置が税制改正大綱に明記される見込みとの報道がありました。1年限りの措置のようですが、地価が上がっている地区に物件をお持ちの方には嬉しいニュースですね。

1.不動産の共有は望ましくないのが原則

相続で遺産分け(遺産分割協議)をする場合、後々揉めないためには不動産は共有にしない方が良いのが大原則です。

共有になっていると不動産の売却等の場合に、全員の押印等が必要になり、一人でも認知症等で意思能力がなくなっていたり、海外など遠方に住んでいる場合等に手続きが大変になる等のデメリットがあるからです。

特に兄弟間で共有になってしまうと、その後の相続でさらに共有者が増えてしまう可能性があり、普段やり取りがない甥や姪と叔父叔母が共有になる可能性も出てきます。そうなると不動産が動かせなくなり、どんどん共有者が増えていって収拾がつかなくなります。相続で揉めた兄弟間で共有になってしまっているケースを時々みかけますが、とても厳しい状況になりやすいです。

 

2.テナント系の物件の場合、共有することで消費税でメリットがあるケースも

【テナント系の物件を相続した時の消費税の納税義務について】

テナント系の物件について年に1000万円以上の収入がある場合は課税事業者となり、消費税の納税義務が生じます。相続の際に不動産賃貸業を引き継いだ場合には消費税の納税義務も基本的には引き継がれます。しかし、共有等で所有者が分散して各相続人の課税対象売上(テナント系の物件の売上や太陽光設備の売上等)がそれぞれ1000万円未満になった場合には、消費税の納税義務がなくなり、その後の税負担が安くなる事があります。複数の物件が分かれて相続される場合は当然ですが、1棟の物件が共有になる場合もそれぞれの共有持分が課税対象の収入が1000万円未満かどうかを判定します。

 

 

 

 

3.テナント系の物件に限らず、共有することでトータルの税負担が安くなることも

(1)青色申告65万円特別控除の事業的規模(5棟10室基準)の要件は共有持分ではなく全体で判断
これはテナント系物件に限った話ではないですが、青色申告の65万円特別控除を受ける為には、貸家で5棟、アパート・マンションで10室の規模が必要ですが、共有の場合には、それぞれの共有持分(2分の1など)ではなく、全体で判断します。そのため、ぎりぎり10室の物件を共有した場合でも、それぞれが事業的規模の要件を満たす事ができます。国民健康保険は世帯の合計所得から計算しますが、青色申告特別控除後の不動産所得がベースになるので、同一生計の家族の場合は、国民健康保険も安くなる場合もあります。

(2)所得が分散することで所得税・住民税も安くなる
これもテナント系物件に限った話ではないですが、そもそも共有で所得が分散されることで、所得が大きくなる程税率があがる累進課税の所得税についてそれぞれ安い税率が適用できるようになり、一人で所有していた時よりも合計の税負担が安くなる効果もあります。

(3)個人事業税の判定も共有持分ではなく全体で判断するがそれぞれに290万円の事業主控除が使える
個人事業税の判定(おおむね5棟10室基準と同様の要件)も青色申告の65万円特別控除と同じく共有持分ではなく全体で判断されるため、共有で相続した相続人はそれぞれ個人事業税の納税義務が生じますが、それぞれに事業主控除290万円が使えるため、一人で所有していた時よりも合計の税負担が安くなることがあります。

〇 まとめ

・不動産は共有しない方がいいのが大原則。

・テナント系の大家さんの場合は、共有になることで消費税の納税義務がなくなる場合も。

・テナント系に限らず共有になることで所得が分散して低い所得税率が使えるようになる効果もあり。

・同一生計の親子間で売却予定がない物件の共有であればデメリットよりも税負担軽減のメリットの方が大きい場合も。

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清田博之
清田博之
NPO法人相続アドバイザー協議会認定会員、一般社団法人家族信託普及協会会員 相続問題に力を入れており、地主さんや大家さんの相続対策のご相談にのる事が多いです。地主さんや大家さんの相続対策については、税務の知識だけでなく、経営や法律、登記、測量、鑑定、売買等の幅広い知識が必要であると感じます。依頼者に寄り添う立場で相続問題の解決に取り組む心ある弁護士さん、司法書士さん、不動産会社さん、FPさん、不動産鑑定士さん、土地家屋調査士さん、一級建築士さん達とも連携して相続問題の解決に取り組んでいます。信頼できる専門家ネットワークで大家さんの賃貸経営と相続に関するかけ込み寺になりたいと考えています。
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