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なぜ税務署に突っ込まれる?|通達通り路線価で申告したのに否認をされることがある!?

賃貸、コレでよかろうもん 第三十回

通達通り路線価で申告したのに否認をされることがある!?

コロナの緊急事態宣言があけて、福岡でも街中に人が増えてきました。早くアクリル板や画面越しに会話する必要がない生活が戻ってきて欲しいですね。

 

 

 

 

さて、今回は、相続税の申告を国税庁の通達通りに申告した場合でも否認された事例がありますよというお話です。

この事例(東京高裁の令和2年6月24日判決の事例)では、被相続人が、平成21年の1月と12月に賃貸物件2棟を節税目的で合計約14億円で購入しました。

その後、94歳で死亡し、相続人らが財産評価基本通達という国税庁の通達通りにこの賃貸物件を合計約3億3000万円で評価して申告しました。

すると国税庁側で不動産鑑定評価額によるべきとして更正処分をされて裁判になり、一審も控訴審も相続人らが敗訴したというものです。

1.相続税の不動産の評価は基本的には通達ベース

相続税を申告する際には、すべての遺産を亡くなった日時点の時価で評価して、相続税を計算します。

時価でと言われても、不動産については上場株式のように取引所の相場等があるわけではなく計算が難しいので、時価を計算するための国税庁の通達が存在します。

この通達で、土地については、路線価(道路が面している路線ごとに国税庁で設定された1㎡あたりの金額)で評価することになっています。

そして、この路線価は国土交通省で毎年1月1日時点の土地の価格として公表される公示価格の8割の水準に設定されることになっています。

 

 

相続税対策での不動産購入の仕組み

この路線価での評価は、基本的には、相続の直前に購入した不動産であっても認められることになっています。

実際の取引金額と相続時の通達ベースの評価額には大きな開きがある場合があり、その開きを利用する事をねらって相続税対策として不動産の購入による対策が行われています。

 

 

1億円を不動産に変えたら相続税の計算では6000万円として計算することになった!

通達というのは、基本的には行政機関(国税庁や税務署)の内部ルールで、行政機関は基本的にこれに従わなければならないため、通達どおりの評価をしておけば基本的には税務調査等で否認されないことになります。

2.通達6項という伝家の宝刀

しかし、この通達の6項には、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という規定があります。

あいまいな表現ですが、「著しく不適当と認められる」場合には、国税庁長官の指示で別の評価額を時価としてもよいというものです。

事例では、購入金額と申告額の間に約4倍、10億円以上の差があったこと等から、不動産鑑定評価額の合計約12億7000万円で申告をすべしとされて、通達通りに申告した納税者が負けています。

 

3.節税目的で、あまりにも時価と申告額に開きがあると否認されてしまうことがある

この事例では、購入資金は金融機関と親族から借入れたものでしたが、金融機関の貸出稟議書に「相続税対策のため不動産購入を計画。購入資金につき、借入の依頼があったもの」等の記載があったことが節税目的だったということの認定に使われてしまいました。

また、購入金額と評価額の間にあまりにも大きな差額があったことと、購入時の年齢が90歳以上と高齢だったことも影響したと言われています。

あまりにも節税対策として露骨で影響額が大きかった事例であり、今後評価通達通りに申告をすることが認められなくなるというわけではないですが、節税効果があまりに大きすぎる場合は、通達通りに評価をして申告をしても否認されることがありうるということは知っておかれると良いと思います。

 

〇 まとめ

・相続税の節税対策では、実際の取引金額と相続税申告時の評価額との差額を利用して不動産の購入が行われる。

・相続税申告時には基本的には国税庁の財産評価基本通達どおりに路線価等で評価をすることになるが、あまりにも購入金額と相続税評価額の間に開きがある場合は、通達通りに評価して申告しても否認される事がある。

・高齢になってから節税のためだけに不動産投資を考えるのではなく、きちんと事業として計画をして不動産投資をしましょう。

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清田博之
NPO法人相続アドバイザー協議会認定会員、一般社団法人家族信託普及協会会員 相続問題に力を入れており、地主さんや大家さんの相続対策のご相談にのる事が多いです。地主さんや大家さんの相続対策については、税務の知識だけでなく、経営や法律、登記、測量、鑑定、売買等の幅広い知識が必要であると感じます。依頼者に寄り添う立場で相続問題の解決に取り組む心ある弁護士さん、司法書士さん、不動産会社さん、FPさん、不動産鑑定士さん、土地家屋調査士さん、一級建築士さん達とも連携して相続問題の解決に取り組んでいます。信頼できる専門家ネットワークで大家さんの賃貸経営と相続に関するかけ込み寺になりたいと考えています。
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