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【第六十三回】弁護士 関 義之が斬る!    「借主が家賃を払わないときの合意の方法」その3

●借主が家賃を払わないときの合意の方法

こんにちは。

弁護士の関です。

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●約束を守らないときにはどうすればよいか。
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前回、家賃の未払があった借主から、

「払いますからちょっと待ってください。」とか、
「分かりました。もう払えないので退去しますが、もう少し待ってください。」

というお願いされた場合に作成すべき書面(合意書)の書式例をご紹介しました。

約束が書面により明確になっていますので、借主にとって心理的負担となり、口約束よりも守ってもらえる確率は高まります。

それでも、約束を守らない借主がいるのが現実です。

その場合、次のステップとしては、「強制的」に家賃を回収したり、貸している物件から早々に退去してもらいたいですよね。

そのためには、裁判が必要です。
法律上、強制執行をするためには、「債務名義」(さいむめいぎ)と呼ばれる根拠が必要になります。
そして、裁判により取得する勝訴判決が、この債務名義となり、強制執行できる根拠になります。
そのために、強制的に家賃を回収したり、建物の明渡しを求めるには、裁判が必要と   いうわけです。

結局裁判をするなら書面を交わしても意味がないのでは、と思われたかもしれませんが、 決してそのようなことはありません。書面は、この裁判で使うための証拠になるのです。 口約束では、言った言わないという水掛け論になり、立証が難しくなることがあります。

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●裁判をしなくても強制執行をする方法があります。
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さらに一歩進めて、裁判をして勝訴判決を取らなくても強制執行できる方法をご紹介   します。
それは、書面を交わすだけではなく、                        ①公正証書を作成したり、②訴え
提起前の和解(即決和解)を申立てしておく方法です。

公正証書は知っている方も多いのではないかと思います。
公正証書は、勝訴判決と同じく「債務名義」となります公証役場で債務弁済契約     (未払賃料について弁済を約束させる合意)の公正証書を作成しておけば、       借主が約束を守らない場合に、この公正証書を債務名義として、裁判をせずに、     直ぐに強制執行に入ることができます。

しかし、公正証書で強制執行できるのは、実は、金銭請求に限られます。
従って、未払賃料の請求には役立ちますが、建物の明渡しの強制執行まではできません。

そこで、建物の明渡しの強制執行を視野に入れるのであれば、簡易裁判所に訴え提起前の 和解(即決和解)を申し立てるとよいでしょう。裁判手続でも和解はありますが、    訴え提起前の和解(即決和解)は、裁判を提起せずに、いきなり和解の申立てをすることができる制度です。
裁判所で和解をする場合(これを「裁判上の和解」といいます)、成立時に作成する   和解調書が勝訴判決と同じく「債務名義」になります。
しかも、公正証書のように金銭請求に限られません。

従って、訴え提起前の和解(即決和解)で建物の明渡しの約束を和解調書に記載して   おけば、借主が約束を守らない場合に、和解調書を債務名義として、裁判をせずに、   直ぐに建物明渡しの強制執行に入ることができます。

訴え提起前の和解(即決和解)の手続については、
東京簡易裁判所のホームページ
(http://www.courts.go.jp/tokyo-s/saiban/l3/Vcms3_00000351.html)
などをご参照ください

ABOUT ME
関 義之
関 義之
関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士・中小企業診断士 平成10年3月に早稲田大学を卒業し、その年の10月に司法試験に合格。平成12年10月から弁護士登録。中小企業の総合支援を目標に掲げ、平成23年10月から中小企業診断士にも登録。法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、契約書の作成・チェック等、紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。
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