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リーゼント先生のやさしい相続 第四十三回
「不動産の分割方法」

相続があった場合、遺されたものが現金のみであれば相続分などに応じてきっちり1円単位まで分割をすることは容易です。では、不動産の場合はどうやって分割をすればよいのでしょうか。今回は、不動産の分割の方法についてまとめていきます。

1. 現物分割


現物分割とは、不動産である土地そのものを各相続人の相続分に応じてそのまま分割をする方法です。仮に一つの土地を分割する場合には、分筆して登記簿の変更をする必要があります。

ただし、複数の相続人がおり、かつ、他に現預金などの遺産がないような場合には現預金と異なり財産価値に差が生じることから公平な分割を行うことが困難となります。また、話し合いがまとまらず揉めることも考えられます。

2. 換価分割

換価分割は、遺産を売却換金して、その換金後の現金を分割する方法です。不動産の分割には測量や分筆などの手間がかかりますが現金であれば分割は容易となります。

ただし、売却金額について譲渡に係る所得税及び住民税が課税されるという問題点があり、何よりも土地を手放すことになることから先祖伝来などの思い入れがある場合は予め換価を避けられるように分割対策を取っておくべきと考えます。

3. 代償分割

代償分割は、遺産の不動産を取得した相続人遺産を取得しなかった(又は少なかった)他の相続人へ法定相続分との差額を相続財産以外から金銭などで支払う分割方法です。

例えば、相続財産が10,000万円の土地のみであった場合、法定相続人が兄弟2人であったならば各々の法定相続分は1/2の5,000万円となりますが、この場合に、兄が土地を全て相続し弟へ5,000万円の現金を渡すことで分割を成立させるようなことがこれにあたります。

ただし、一見理想的な分割方法とも考えられますが代償金を支払う相続人が金策に苦しむ、結果土地を売却するなどの問題が生じることも考えられます。

4. 共有


相続による取得者を1人に定めず、相続人全員でその不動産を共有する方法もあります。相続人全員が各人の法定相続分に応じて取得することとなるので公平な方法とも考えられます。

ただし、不動産を共有すると権利関係が複雑になり、売却などの場合には共有者全員の同意が必要となるため、手続きが煩雑となります。また、不動産をどのように引き継ぐ、売却していくなどの判断を次世代に先送りすることとなるためその後に様々な問題が生じることも考えられます。

まとめ

・土地を手放したくない場合は、現物分割や代償分割によることとなりますが、代償分割は代償金の支払の準備も必要になります。

・不動産は分割方法や取得者によって相続税の納税額が大きく異なる場合があります!

・相続についてもぜひご相談ください!

ABOUT ME
羽藤徹夫
税理士法人 大石会計事務所所属。 高校卒業後は主にガテン系の肉体労働に従事。体力の限界を感じ、税理士試験の勉強を開始。合格を機に税理士試験の受験専門学校へ転職。大原簿記専門学校で相続税法、法人税法の教鞭をとった経験を元に、相続税をやさしくわかりやすく解説。
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