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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第111回】不動産鑑定士・住宅診断士
皆川 聡が斬る!④

相続節税対策、鑑定評価の活用例

皆様こんにちは。

不動産鑑定士住宅診断士の皆川聡です。

メリークリスマス!
今年も残り1週間となりました。
皆様今年の目標や願いは叶いましたでしょうか?

私の方は、悲しいかな、30%が達成、70%が未達というイメージです。
「なかなか思うように進まない」のが現実ということでしょうか!           「なかなか思うように進まない」といえば、相続対策でしょうか?

その理由として、いい意味でも悪い意味でも
いろいろな人の気持ちが介在するためと考えられます。

当事者のお気持ち一つ一つを大切にしつつ、客観的に、全体的に俯瞰して見ながら
よい方向性を導き出したいものです。

特に、不動産については、相続の際に、税務上の評価を採用するのか、鑑定評価による時価が採用できるかで、節税面や、遺産分割の面で、大きな効果が期待できます。

1.不動産「税務上の評価」vs「鑑定評価による時価」

相続の際に、分かりにくい不動産について、
現時点の「税務上の評価」vs「鑑定評価による時価」
と将来予想の「税務上の評価」vs「鑑定評価による時価」との把握が必要になります。
原則としては、課税額は、税務上の評価(路線価評価)により決定されますが、
後述する土地に高低差がある場合等特殊要因が介在するようなケースにおいては、
鑑定評価による時価を採用する場合があります。
例えば、「税務上の評価」>「鑑定評価による時価」になった場合には、
「鑑定評価による時価」の主張が採用され、節税効果が期待できます。

さらに、将来予想の場合、不動産の残債務の返済が進み、マイナス財産が減ることにより、
納税額がアップする可能性が出てくるため、その対策を練るポイントが明らかになります。

2.相続対策の開始のタイミング

では、このような対策は、いつ行った方がよろしいかと思いますか?

5年後位でも。。。
とお思いになるかもしれませんが、

「今でしょ」です。
ちょっと古いですが。。。
何しろ、少しでも早く行った方がよいです。

その理由は、実際相続になった場合、特に不動産については、
・今すぐに分割できない
・境界確認がとれない
・売買できない
・意思決定ができない
などなど
後になって、
「あの時、こうしておけば良かった」
という話がほとんどだからです。

ですので、今から信託なども活用してみるというきっかけにも繋がります。

3.鑑定評価の活用例

また、皆様が不動産鑑定を活用しなかったがために、
後悔されることのないように、
今回は相続を含めた鑑定評価の活用例を
抜粋してお伝えさせていただきます。

① 相続
路線価評価に比して時価が著しく低い場合
1)高低差あり
2)無道路地(建築基準法上の道路に接道していない敷地)
3)私道
4)形状が著しく不整形
などの場合には、「税務上の評価」>「鑑定評価による時価」
になり、「鑑定評価による時価」が認められ、節税が期待されます。

② 譲渡所得
取得時の売買契約書等がないケースで
5%が取得価額とみなされ、95%が譲渡所得となる場合
※おおよそ目線として、昭和50年前後取得まででしたら、
鑑定評価をとることにより取得価額を算出し、
節税によるメリットが認められるケースが多いようです。

その他
③ 個人法人間の売買(同族間売買、親族間売買)
④ 遺産分割時の評価
⑤ 遺留分減殺請求のための評価
⑥ 財産分与のための鑑定評価
⑦ 賃料の鑑定評価
⑧ 融資の際の鑑定評価

このほか、
相続対策の簡易査定により
資産の組み換えの御提案をすることもできます。

4.まとめ

今回は、相続対策開始のタイミングと鑑定評価の活用例をお伝え致しました。

今回で、今月は最後になります。

少しでも、皆様の投資などのお役に立てていただきますと幸いです。

今回も最後までお読みだきましてありがとうございます。

どうぞ、良いお年をお迎えください。

ABOUT ME
皆川聡
株式会社Aoi不動産鑑定 大手不動産鑑定会社に約8年従事し、メガバンク、政府系金融機関、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関の担保評価をメインに約2500件の案件を携わり、国際線ターミナルの評価の実績もあり。 退職後、平成27年4月に開業。 開業後は、税務対策の鑑定評価や裁判調停等の鑑定評価での多数実績。住宅診断を反映した鑑定評価にて、より清緻な鑑定評価を行っており、鑑定評価額だけではなく、皆様の建物の日ごろのメンテナンスのポイントなどもご提案し、ご好評をいただいております。また2020年10月には、相続税の還付請求にて、他の不動産鑑定士が国税不服審判所にて否認された案件を、その後当職が不動産鑑定を担当。圧倒的な不動産鑑定評価により、東京地裁において、国税庁との裁判で無事完全勝訴しております。
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