『法人契約における生命保険』
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
『法人契約における生命保険2019年改正』について、3週目の情報提供をいたします。
1.長期平準定期保険と変額定期保険の比較
法人契約のオーソドックスな生命保険と言えば、長期平準定期保険です。
保険期間が98歳~100歳までとし、
死亡・高度障害保障を備えることができる保険です。
保険期間の経過とともに一定期間までは解約返戻金が増えていく
タイプですので、役員退職金や死亡退職金の支払い原資として
活用することもできます。
また、急な資金需要の際に、銀行等から借入れができない場合など、
この保険の解約返戻金の所定の範囲内において、
契約者貸付を利用することができますので、
法人の財務基盤を強くすることができます。
この長期平準定期保険の以前の経理処理は、
1/2損金算入する契約形態が一般的でしたが、
改正後の経理処理の例を見てみましょう。
【A社:長期平準定期保険】
保険期間99歳
保険金額2,000万円
被保険者年齢55歳
年払保険料786,540円
最高解約返戻率76.93%
この場合、保険期間の最初の40/100相当期間を経過する日まで、
4/10損金参入となります。
被保険者年齢65歳の場合は、年払保険料1,221,720円、
最高解約返戻率66.79%となるため、
保険期間の最初の40/100相当期間を経過する日まで、
6/10損金参入となります。
変額定期保険については、
長期平準定期保険と類似している生命保険ですが、
保険料が特別勘定に分類され、株式や債券などで運用する保険です。
特別勘定の資産の運用実績に応じて、
死亡・高度障害保険金や解約返戻金が毎日変動(増減)する仕組みです。
解約返戻金については最低保証がありませんが、
基本保険金額は最低保証がありますので、解約を前提とする場合は、
解約返戻金の変動(増減)リスクがあります。
【B社:変額定期保険】
保険期間99歳
保険金額2,000万円
被保険者年齢55歳
年払保険料617,080円
最高解約返戻率75.32%(予定利率3.0%)
この場合、保険期間の最初の40/100相当期間を経過する日まで、
4/10損金参入となります。
被保険者年齢65歳の場合は、年払保険料984,220円、
最高解約返戻率63.64%(予定利率3.0%)となるため、
保険期間の最初の40/100相当期間を経過する日まで、6/10損金参入となります。
変額保険は、運用実績が好調で予定利率6.0%の場合は、
被保険者55歳で最高解約返戻率117.47%、
65歳で77.97%になる可能性もありますが、
経理処理としては予定利率3.0%で計算することになっています。
また、長期平準定期保険と比較すると、
保険金額と保険期間を同じにしても保険料が低いことがわかると思います。
運用先は、保険会社指定の投資信託などで、契約者が選択をすることができます。
日経平均株価に連動するものを選択すれば、
保険金や解約返戻金が日経平均株価に連動しますので、
法人の自社株対策として変額定期保険を活用することも有効です。