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【第306回】弁護士 関 義之が斬る!     「株式の承継について」 その4

●株式の承継について

こんにちは。弁護士の関です。

今月は「株式の承継について」を書いていきます。

●株式の承継方法

今回は、株式の承継方法について説明します。
承継方法は、売買、生前贈与、遺言(遺言相続)のどれか、
またはその組み合わせで行うことが多いです。
ほかに、信託を利用することもあります。
この中でどれがよいと決まっているわけではなく、
当該状況に応じて、一番良い方法を選択することが重要です。
いくつか、選択の判断ポイントについてご紹介します。

●承継時期

まず、いつ承継が実現するかという承継時期が異なります。
売買と生前贈与は、原則として、その契約時に後継者に権利が移ります。
迅速な承継が可能である反面、後から違う方(例えば、次男)を
後継者にしたいと思っても元に戻すのは大変難しいため、
後継者選びは慎重に行う必要があります。
一方で、遺言は、遺言書の作成時ではなく、
経営者が亡くなったときに後継者に権利が移ります。
経営者が株式を手放したくないというときなどに遺言が選択されますが、
後継者としては、経営者が亡くなるまでの間、
遺言が撤回されてしまうのではないかと、不安定な立場に置かれます。

●必要な資金

次に、必要な資金が異なります。
売買は、お金を出して買うという契約ですので、
後継者が経営者に売買代金を支払う必要があります。
また個人間の売買ですと、譲渡所得税がかかる場合がありますが、
譲渡所得税を負担するのは、後継者ではなく、
売主である経営者となります。
一方で、生前贈与と遺言の場合には、売買と違って、
後継者は代金を支払う必要はありませんが、株価により、
贈与税や相続税がかかる場合があります。
いずれの資金も、
後継者の自己資金やその他の遺産で捻出できればよいですが、
そうでなければ、資金調達についても検討が必要です。
税金対策については、税理士に必ず相談するようにしましょう。

●トラブル予防

忘れてはいけないのが、今回のテーマであるトラブル予防です。

トラブル予防の1つ目は、法律上必要な手続を確実に行うことです。
例えば、遺言の場合には、
できれば、自筆証書遺言よりも公正証書遺言を選択します。
公証人という専門家のチェックが受けられるからです。
また自筆証書遺言の場合でも、
遺言書の保管制度を利用することも検討するとよいでしょう。

日本公証人連合会の遺言の説明ページ
https://www.koshonin.gr.jp/business/b01
法務省の自筆証書遺言書保管制度の説明ページ
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

売買や贈与の場合には、
親族間であっても契約書を作成しておきます。
また、会社が株券発行会社の場合には、
株券を交付するか、株式譲渡の前に株券不発行会社へと
定款変更をしておきます。
会社法上求められる株式譲渡の承認手続や株主名簿の
名義書換などもしっかり行います。
ご不明な場合には、弁護士や司法書士に相談するとよいでしょう。

トラブル予防の2つ目は遺留分(いりゅうぶん)対策です。
遺留分というのは、
兄弟姉妹以外の法定相続人に残された最低限の取り分です。
相続人によって遺留分の割合は異なりますが、
父親が亡くなり、その法定相続人が、
その妻、長男、次男の3人の場合には、
それぞれの遺留分は、1/4、1/8、1/8となります。
株式を生前贈与や遺言で後継者(例えば長男)に
承継させる場合には、その他の遺産等で
妻や次男にも1/4、1/8の財産を承継させなければ、
遺留分を侵害しているとして、紛争が生じる可能性があります。
適正な価格で行う売買の場合には遺留分の問題は生じませんので、
株価が低い場合には、遺留分の紛争を避けるために、
親族間であっても売買を選択することもあります。
遺留分というのはとても難しい法律問題ですので、
その対策を含めて気になる方は、
弁護士に相談するとよいでしょう。

最後になりますが、株式の承継の基本的なポイントについて
解説した新宿区の動画セミナーが公開されています。
よろしければこちらもご視聴ください。

新宿区動画セミナー【第3回 確認しよう!~事業承継にかかわる法律や税金~】
https://www.city.shinjuku.lg.jp/jigyo/sangyo01_002198_00001.html

ABOUT ME
関 義之
「関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士」 平成10年 3月に早稲田大学法学部を卒業し、 その年の10月に司法試験に合格。 1年半の司法修習を経て、平成12年10月から弁護士登録。 平成23年10月から中小企業診断士にも登録。 法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、 代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、 契約書の作成・チェック等、 紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。 不動産の賃貸・売買や、 遺言・遺産分割・遺留分など相続に関する相談を、 幅広く受けている。 特に力を入れている分野は、中小企業の事業承継支援。 セミナー経験多数。 詳しくはWebサイト参照  https://seki-partners.com/
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