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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第333回】
 二代目大家の小宮 哲朗が語る  ③

大家さんが知っておくべき空室対策の基礎知識

皆さんこんにちは。今月は二代目大家の小宮 哲朗より
「大家さんが知っておくべき空室対策の基礎知識」と題して、
4回に分けてお送りいたします。

第3回目は「空室対策の優先順位」についてです。

前回は「ポータルサイト掲載時の具体的な施策」と題して、
賃料、設備、物件写真の観点からお話をしました。
今回は空室対策で実際にやるべきことと優先順位についてお伝えします。

◆空室対策を実行する前に確認すべきこと
前回のメルマガでもお伝えしましたが、
まずは空室対策以前に「募集環境がしっかり整っていること」を
下記3点から確認しましょう。

1.ポータルサイトに掲載されているか
より多くのポータルサイトへ掲載されている方が、
閲覧確率も上がります。
少なくとも主要ポータルサイトといわれているスーモ、ホームズ、
アットホームは必須です。これができていないと、
いくら空室対策を実行したところで意味がありません。

2.適正な条件で募集されているか
当たりと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
賃料、敷金、礼金などの条件が相場と乖離していないか確認が必要です。
一般的には仲介会社が相場を把握しており対応してくれることが多いですが、
実際はそうでない実情も散見されます。
よって大家さん自身が相場を把握したうえで募集を行うことが必須です。

3.募集物件に大きなマイナスポイントがないか
上記1,2がしっかり満たされていたとしても、
物件自体に大きなマイナスポイントがある場合、
募集スタートの段階で圧倒的に不利になります。
例えば、バストイレ別でない(同室)、“室外”洗濯機置場、追炊機能がない、
エアコンがないなど、
近年のトレンドから明らかに外れている条件はリフォームなどで
仕様を変更して回避しておきたいところです。

◆「家賃を下げる」 その前に
よく空室対策として、少しポータルサイトの反響が悪いだけで、
すぐに「家賃を下げましょう」と仲介会社から言われ、
それを受け入れてしまう大家さんが少なくありません。
確かに家賃を下げることも立派な空室対策の一つではありますが、
家賃を下げることは毎月の収入を下げる行為ですので、
どうしても空室が埋まらない時の最後の手段にしておきたいとことです。
そこで以下に家賃を下げる前にできることをあげておきます。
ちょっとしたことかもしれませんが、意外と効果のある大事なことです。

1.外構、共用部を清掃して綺麗にする
多くの大家さんは部屋の中のリフォームには、
しっかり対応されていると思います。
しかし入居者候補の方が内見しに来た際に最初に目にするのは、
「物件の外観」や「建物の共用部」です。
ここが著しく劣化していたり汚れていたりすると、
部屋の中を見る前に悪い印象を与えてしまいます。
外壁が汚れている場合は洗浄する、または塗装をし直す。
共用部は定期的に清掃して綺麗にしておく。
建物敷地内の雑草を定期的に取っておくなど、
ちょっとしたことですがこれだけで物件の第一印象は大きく変わります。
一棟丸ごと所有している場合は
大家さん単独で決断できるので実行しやすいと思います。
一方で区分マンション等の場合は建物全体に関するところは
手をつけづらいかもしれませんので、
管理会社に相談して改善へ動いてもらうのがよいでしょう。

2.内見方法の変更
現地にキーボックスを配置する、
物件近くの不動産会社で鍵を管理してもらうなどして、
仲介会社が内見案内をしやすい環境を整えることも大切です。
「仲介会社にとって決めやすい物件」に
することも立派な空室対策の一部になります。

3.初期費用を安くする(敷金、礼金)
入居者にとって引っ越しをする際の
初期費用は意外と費用がかかるものです。
家賃を下げると毎月の収入に影響が出ますが、
敷金・礼金であれば入居者にとっても
初期費用を抑えることができるため
契約のハードルが下がります。

4.入居条件を緩和する
外国人、高齢者、ペット、事務所使用可などにして
入居者ターゲット層を広げることが有効です。
本対応にリスクを感じる大家さんも
いらっしゃるかと思いますが、
実際には外国人専門の家賃保証会社、
高齢者の見守りサービス・孤独死保険、
ペット同居の場合は敷金を追加でもらう、
事務所使用時の条件変更などでリスクヘッジが可能です。

5.費用対効果が高い設備を導入する
エアコン、宅配ボックス、無料インターネット、
モニターホン、ウォシュレット、浴室乾燥機など、近
年トレンドの設備であり、費用もそこまで高額ではないものは、
今後の賃貸経営を見据えると導入は必須といえます。

◆「空室対策」から「満室経営」という視点へ
以上のことからお伝えしたいのは、
「空室を埋める」ことに意識が行きすぎて、
目先の募集条件に拘り過ぎてはいけないということです。
それよりも大事なのは
「入居後により長く住んでもらうこと」でできる限り
「満室経営」を維持し、安定した賃貸経営をすることです。
目先の空室対策ももちろん重要ですが、
合わせて長期的な視点で考えていただければと思います。

今回は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
小宮 哲朗
小宮 哲朗(こみや てつろう) エターナルフィナンシャルグループ IFA事業部長 ◆保有資格 CPM(認定不動産経営管理士)、宅地建物取引士、AFP、 証券外務員二種 ◆経歴◆ IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)、 不動産コンサルタント、二代目大家。 不動産投資は2012年にサラリーマン大家として開始。 実家が個人の地主系大家のため、 相続対策として法人化を実行し現在に至る。 サラリーマン時代は不動産ポータルサイト「HOMES」の 運営会社でエンジニアを勤め、不動産会社向けシステムの開発に従事。 現在は不動産、金融両方に精通したIFAとしてコンサルティングに従事。
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