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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第319回】不動産鑑定士・住宅診断士
皆川 聡が斬る!①

板前と不動産鑑定評価は、実は一緒!?

皆様こんにちは。

不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。

今回より、今月4回は、私が担当させていただきます。

私自身、昨年熱中症にかかり、どうもこの熱中症という症状は癖になるようで、
こまめな水分補給をするように心がけております。

さて、今週は、『板前と不動産鑑定評価は、実は一緒!?』とういうテーマで
記載させていただきます。

私自身現在50を超えておりますが、
今の不動産鑑定業界に入る前の30歳前までは、
銀座四丁目で板前をしておりました。
実は10年ほど前まではどうして板前なんてやってしまったのだろうとか、
遠回りの人生をしてしまったなどと思っておりました。
一方で、不動産鑑定業界に移らず、
板前を継続していれば良かったのかも?とも思う時期もありました。

ですが、ここ5年ほどは、板前をやっていたことが、
不動産鑑定に特に生きてきていると、実感致しております。

板前的には、魚や野菜等の目利きの際に、魚であれば、
その魚の目や腹や背や尾、艶などを見ます。
そのことが、不動産鑑定の大前提の住宅診断においては、建物を調査する際にも、
建物の劣化状況を確認する際に、上から下、
また、下から上、そして、右から左、また、左から右というように舐めるように、
その建物を見ると、いろいろとその表情が見えるようになってきます。
建物の目利きができるようになってきます。(未だ勉強中の部分もありますが)

例えば、劣化状況一つとってみても
「この部分、何もないけど雨漏りしていそうだな?」とピンとくるものがあります。
その部分に赤外線カメラを当ててみると、
明らかな温度差(劣化している)がくっきり映し出されます。
勿論普通に見ただけでは分からない箇所です。

先日も、遠くから見ても近くから見ても綺麗な
約7年程前に大規模改修工事を行っている築21年程度のマンションの鑑定評価で、
専有部分の内覧調査の際に、
「この壁、何もないようですが、怪しいかもしれませんよ!」
という場所に、赤外線カメラを当てると、
思った通り、その箇所のみ明らかな温度差がくっきり映し出されて、
反対側の外壁調査から、雨漏りであることが判明しました。

勿論当該要因は、減価要因に反映せざるを得ないため、評価額は下がります。
同族間売買と言うご事情での鑑定評価でした。

また、今この時点で雨漏り等が発見されたことは、
この建物にとっても良かったと言えます。
オーナー様にとってみても、病気の治療のように早期発見、
早期対処により、最小限の費用負担で、修繕できる可能性が高まります。

それがそのことを知らずに放置し続け、
顕在化した状態になってからでは、
やはり、緊急性を要することもあり、
費用が多額にかかってしまうケースが多く有ります。

一般的な不動産鑑定評価では、
価格を出して、レポート(不動産鑑定評価書)を
提出しておしまいであることが殆どです。

やはり、それだけでは、今まで培ってきた知識を皆様へ提供できてないと思い、
その建物の状態から、その建物の特徴や定期的な修繕ポイント等をお伝えしております。
また、少しでも旬のものを最高の調理方法にて、
最高の状態で、サービスをご提供できればという精神を
鑑定評価や周辺業務にもオリジナルにて織り込んで進めております。

遠回りな人生でしたが、結局無駄はないな、
寧ろ遠回りしたことがメリットとして働いているな、
とやっと思えるようになってきました。

ちょっとタイトルには無理があったかもしれませんが、
この度も最後までお読みいただきまして、ありがとうございます

ABOUT ME
皆川聡
株式会社Aoi不動産鑑定 大手不動産鑑定会社に約8年従事し、メガバンク、政府系金融機関、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関の担保評価をメインに約2500件の案件を携わり、国際線ターミナルの評価の実績もあり。 退職後、平成27年4月に開業。 開業後は、税務対策の鑑定評価や裁判調停等の鑑定評価での多数実績。住宅診断を反映した鑑定評価にて、より清緻な鑑定評価を行っており、鑑定評価額だけではなく、皆様の建物の日ごろのメンテナンスのポイントなどもご提案し、ご好評をいただいております。また2020年10月には、相続税の還付請求にて、他の不動産鑑定士が国税不服審判所にて否認された案件を、その後当職が不動産鑑定を担当。圧倒的な不動産鑑定評価により、東京地裁において、国税庁との裁判で無事完全勝訴しております。
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