東京の中心で税務を叫ぶ 第87回コラム
そもそも築古戸建の購入は節税になるの?
そもそも築古戸建の購入は節税になるの?
お話しします。
こんにちは!
築古戸建を購入すれば減価償却費で節税できる!
という話を聞いたことがあるかもしれませんが、
本当にそうでしょうか?
そこで今回は、給与年収800万円のサラリーマン大家さんが
節税目的で築古戸建を購入した場合、
税金がどうなるか具体例で検証してみたいと思います。
<購入した物件>
木造、築40年
購入代金400万円(土地350万円、建物50万円)、仲介手数料20万円
リフォーム費用200万円
家賃収入60万円/年(表面利回り15%)
その他経費10万円/年
仲介手数料20万円は、土地と建物の購入金額で按分します。
その結果、土地の金額は367.5万円、建物の金額は52.5万円となります。
以前のコラムでお話しましたが、事業開始前のリフォーム費用は、
経費にできず、すべて資産計上して減価償却することになっています。
また、今回のリフォーム費用は200万円なので、
建物金額52.5万円の50%を超えているため、
下記の計算式で減価償却の償却年数を計算します。
この物件の償却年数は12年となります。」
よって、1年あたりの減価償却費は、(52.5万円+200万円)÷12年=約21万円となります。
それでは、物件購入前と物件購入後の税金(所得税・住民税)を比較してみます。
結論としては、物件購入前より税金が約6万円(99万円-93万円)増えています。
なぜでしょう?
今回のケースでは、減価償却費を計上しても不動産所得が赤字になりませんでした。
不動産所得が赤字になれば、
給与所得と相殺できるので、課税所得が少なくなり、税金も少なくなります。
ただ、今回はそれができなかったため、
税金が増えてしまったのです。
また、減価償却費で赤字になったとしても、
融資を引いている場合には、赤字の金額のうち、
土地の借入金の利息分の金額は、給与所得と相殺できないことになっているため、
赤字が使えない可能性があります。
このように節税目的で不動産を購入しても、
いくつもハードルがあるため、実際にはうまくいかないケースがあります。
ただ、節税できなかったとしても、
物件購入前よりキャッシュの手残りが増えていれば、
結果的には得をしていることになります。
したがって、節税目的より、
手残りを増やす目的で不動産投資を始めることをおすすめいたします。
まとめ
①築古戸建を購入しても必ず節税できるとは限らない
②節税より手残り重視でいきましょう!
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。