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消費税の簡易課税と原則課税どちらが有利?

東京の中心で税務を叫ぶ 第99回コラム

消費税の簡易課税と原則課税どちらが有利?

大家さん
大家さん

消費税の簡易課税と原則課税どちらが有利?

大野
大野
今回は消費税の簡易課税と原則課税どちらが有利?についてお話します。

こんにちは!
今回は、消費税の簡易課税と原則課税どちらが有利になるか、
ご質問を頂いたので回答いたします。

Q
物件売却により課税売上が1,000万円を超えたため、2期後に課税事業者となります。
テナント物件はなく、住宅の家賃900万円と駐車場代100万円が収入になる予定です。
簡易課税と原則課税どちらを選択した方が有利になるか判断方法を教えてください。

A
まず、簡易課税の納税額の計算方法を確認します。

課税売上にかかる消費税-(課税売上にかかる消費税×みなし仕入率)

簡易課税は、仕入にかかる消費税は関係なく、
売上にかかる消費税のみで計算する方法です。
大家さんのみなし仕入率は、不動産業に該当するため通常は40%です。
つまり、売上にかかる消費税の60%を納税することになります。

続いて、原則課税の納税額の計算方法です。(一括比例配分方式を前提とします)

課税売上にかかる消費税-(課税仕入にかかる消費税×課税売上割合)

原則課税は、売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を控除して計算します。
仕入にかかる消費税には、課税売上割合をかけます。
課税売上割合とは、売上の総額に占める課税売上の割合です。

御社の課税売上は駐車場代、非課税売上は家賃収入となりますので、
課税売上割合は、

100万円÷(900万円+100万円)=10%

の見込みです。

仮に課税仕入が課税売上と同じ100万円だったと仮定します。(消費税は10%で計算)

そうすると、簡易課税の納税額は、
10万円-10万円×40%(みなし仕入率)=6万円

原則課税の納税額は、
10万円-10万円×10%(課税売上割合)=9万円

みなし仕入率(40%)より課税売上割合(10%)の方が低いため、
簡易課税が有利になります。

このように、課税売上割合が40%以下の場合、課税仕入が、
課税売上と同額またはそれより少ない見込みであれば、
通常は簡易課税が有利となります。

なお、御社の課税仕入が400万円ならば、原則課税の納税額は、
10万円-40万円×10%=6万円
となり、簡易課税の納税額と同じになります。

御社の場合は、課税仕入が400万円以上発生する見込みなら
原則課税が有利になります。
ただ、令和2年の改正で、住宅用の賃貸物件の購入は、
課税仕入ではなくなったのでご注意ください。

まとめ

住宅のみ所有している大家さんは、通常は課税売上割合がかなり低くなる
(40%に満たない)ため、課税仕入が相当に大きくなる見込みがない限り、
簡易課税が有利になると言えます

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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