東京の中心で税務を叫ぶ 第148回コラム
簿記用語の「収益」は、収入と何がちがうの?
こんにちは!
賃貸経営をされている皆様は、
日々の取引をご自身で記帳するないしは税理士に
記帳を依頼していると思いますが、
そもそも何のために記帳するのでしょうか?
もちろん、記帳して作成する決算書を
確定申告書に添付しないといけないからというのは当然ですが、
本来の目的は、記帳して決算書を作成して、
その決算書からご自身で経営状態を把握することだと思います。
会社を前提にお話していきますが、
会社の経営状態がよいか悪いかは
何を見れば分かるでしょうか?
それは、利益がいくら出たかですね!
利益とは、
その会社がどれだけ稼いだかを数字で表したものです。
ところで、この利益は、
期間を区切って見る必要があります。
会社設立から倒産までのトータルでいくら
稼いだかを倒産後に知っても意味がないですよね…
通常は、1年間という期間で判断します。
昨年と比べてどうか、
3年前に比べてどうかなど、
比較して見ることで、
今年の成績がよいか悪いかを判断することができます。
このように成績を見るときは、
期間を区切らないと自分が成長できているかどうか分からないですよね。
学生時代にもらった成績表も、
一学期、二学期、三学期と区切られて評価されていましたね。
では、利益とはどうやって計算していましたっけ?
入ってきたお金から、出ていったお金を差し引いて計算します。
その結果、
手元に増えたお金が利益を表します。
簿記の世界の言葉を使うと、
「収益」から「費用」を差し引いて利益を計算します。
ただ、簿記用語の収益と費用は、
一般的に使われる収入と支出とは微妙に異なります。
たとえば、昨年の売上が100万円、
今年の売上も100万円だった場合で、
費用が無かったものとすると、
どちらの年も利益は100万円と見るのが自然です。
ただもし、昨年分の売上代金の入金が今年だった場合、
収入ベースで考えてしまうと、
昨年は0円、今年は200万円となります。
つまり、収入ベースで利益を考えてしまうと、
昨年の利益は0円で、
今年の利益は200万円ということになってしまいます。
果たしてこれが本当に
会社の正しい成績を表しているといえるのでしょうか?
昨年も今年も同じように頑張ったので、
売上が100万円ずつ発生しているにもかかわらず、
収入で考えてしまうと、
入金のタイミング次第で、
利益が変わってしまいます。
あくまでも努力の結果を表すのが成績ですので、
実際の入金ではなく、
売上が発生したタイミングで計上するようにします。
そうすることで、昨年と今年を比較することができ、
正しい経営判断をすることができます。
したがって、簿記の世界で売上は、
収入ではなく、「収益」と呼びます。
このように、会社の利益を計算する際には、
実際の入出金ではなく、
売上などの取引が発生したタイミングで収益、
費用を計上することにより、
適切な利益を計算することができます。
まとめ
①利益の計算は、実際の入出金ではなく、取引の発生ベースで計算します。
②大家さんの知恵袋のYoutube動画で、簿記講座を始めました。
今回のような簿記の基礎を解説していきますので、是非ご視聴ください!
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。