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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第406回】不動産鑑定士・住宅診断士
皆川 聡が斬る!①

ひび割れ(クラック)について

こんにちは、不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。
今月4回分のコラムを担当させていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

今回は、建物のクラックについて、記載させていただきます。

●ひび割れ(クラック)について●
今回は、建物の外部に発生するひび割れ(クラック)についてお話しします。
建物内部のひび割れは、
地震などによってクロスの下地である
石膏ボードがずれることが主な原因です。
しかし、外部のひび割れは建物全体に
影響を及ぼす可能性があるため、特に注意が必要です。
ひび割れを見つけたとき、多くの方は
「この建物はもう危ないのでは?」
「すぐに修理しなければ」
「雨水が浸入してこないか?」
など、さまざまな不安が頭をよぎるかもしれません。

人は、理解できないことがあると、
必要以上に不安を感じ、
リスクを過大に見積もる傾向があります。
建物にひび割れを見つけた際には、
建物の寿命や資産価値を守るため、
早めの修繕をお勧めします。

なぜなら、ひび割れが放置されると、
建物にとって最も厄介な「水の浸入」を招く可能性があるからです。
ただし、すべてのひび割れが急を要するわけではありません。

今回は、その程度に応じた対応について簡単に説明します。
まず、軽微なひび割れで急いで修繕が
必要でない場合について説明します。
たとえば、基礎の表面のモルタル部分にうっすらとした
横方向のひび割れがある場合、一般的には急を要しません。
これは、表層のモルタルが乾燥してできたひび割れであり、
構造自体には影響しないと考えられるからです。

イメージとしては、
肌の表面が乾燥して少しひび割れるようなものです。
この程度のひび割れであれば、
大きな問題にはならないでしょう。
ただし、建物の角にひび割れが生じている場合や、
地震による建物のねじれが原因であれば、
他に何らかの不具合が発生している
可能性があるため、注意が必要です。

次に、外部の壁に生じるひび割れについてです。
特にサッシ周りではよく見られます。
地震などで建物が揺れると、
サッシ周辺には多方向から力がかかり、
ひび割れが発生しやすくなります。
また、サイディングボードの継ぎ目にある
コーキングやシールの劣化も原因の一つです。
通常、10年ほどで硬化が始まり、
12年でひび割れが見られ、
15年ほどで裂けてくることが多いです。
日当たりなどの条件にも左右されますが、
このような劣化が進行すると、
水の浸入を防ぐことが難しくなります。
さらに、バルコニーの裏や軒裏に隙間ができている場合、
横殴りの雨によって雨漏りが発生することもあります。

●まとめ●
建物外部にひび割れが見つかった場合は、
基本的には早急な修繕をお勧めします。
修繕の必要性や方法は、
建物の築年数、劣化状況、
ひび割れの場所などによって異なります。
また、状況によっては内部にも影響を及ぼす可能性がありますので、
リフォーム業者や住宅診断士に相談してみるとよいでしょう。
早めの対応により、
皆様の物件が長期間にわたり収益を生み出すことをお祈り申し上げます
以上、少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございます。

ABOUT ME
皆川聡
株式会社Aoi不動産鑑定 大手不動産鑑定会社に約8年従事し、メガバンク、政府系金融機関、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関の担保評価をメインに約2500件の案件を携わり、国際線ターミナルの評価の実績もあり。 退職後、平成27年4月に開業。 開業後は、税務対策の鑑定評価や裁判調停等の鑑定評価での多数実績。住宅診断を反映した鑑定評価にて、より清緻な鑑定評価を行っており、鑑定評価額だけではなく、皆様の建物の日ごろのメンテナンスのポイントなどもご提案し、ご好評をいただいております。また2020年10月には、相続税の還付請求にて、他の不動産鑑定士が国税不服審判所にて否認された案件を、その後当職が不動産鑑定を担当。圧倒的な不動産鑑定評価により、東京地裁において、国税庁との裁判で無事完全勝訴しております。
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