大家業と確定申告は切っても切れない関係にありますが、その確定申告で忘れてはならないのが「青色申告」です。今回は青色申告にまつわる注意点についてお話します。
1.青色申告には条件がある
(1)青色申告とは?
青色申告は、簡単に言うと、きちんと帳簿をつけてそれに基づいて正しい確定申告をする人に対して認められる有利な制度のことです。サラリーマンには無縁ですが、自分で商売をやっている人(事業所得者)や不動産からの収益を得ている人(不動産所得者)にとって、青色申告は節税につながる重要な要因です。
ところで、青色申告という名前はかつて申告用紙が青かったからとか申告の名称を決める時に色のイメージで付けたとか諸説ありますが、実際のところよくわかりません。あまり気にしないでくださいね。
(2)帳簿はガチガチでなくてもよい
帳簿をつける目的は、貸借対照表と損益計算書を作るためです。そのためのきちんとしたルールに基づいた計算をして記録を残さなくてはなりません。しかしながら、帳簿をつけることによって特典を受けられると言うと、「帳簿なんて付けられない」とあきらめてしまう人がかなり多く出てきます。
しかし、あきらめてはいけません。実は、青色申告制度では、現金の帳簿や経費帳などの簡易な帳簿しかなくても、損益計算書が作れれば、特典の一部である青色申告特別控除を受けることができます。この場合の控除の金額は10万円ですが、これは、実際に経費として出費していなくても10万円分の経費を認めるということですから、とても見逃せないものだと言えます。
2.特典に伴う条件に要注意
(1)届出の条件に注意
青色申告をするには「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。しかしこれはいつ出してもいいわけではなく、新たに適用されるためには、その年の3月15日までに「申請書」を届け出なければなりません。その年の1月16日以後に新規開業した場合には、業務を開始した日から2か月以内に「申請書」を届け出ることになっています。届け出る期限を過ぎると、青色申告の適用は翌年からになってしまうのでご注意ください。
(2)誰でも65万円控除が使えるわけではない
青色申告の特典でもっとも節税の効果が大きいのは、65万円の「青色申告特別控除」です。きちんと帳簿をつけて正しい損益計算書と貸借対照表を作れば、実際にお金が出て行っていなくても、65万円を経費にできるのですから、この節税効果たるや絶大です。
しかし大家さんの場合には、アパート等を5棟以上または貸し部屋10室以上ないと、65万円控除を適用することができません。これは、それだけの事業規模が無いと65万円控除を認めない制度であるというしかない、ちょっと理不尽な仕組みなのですが、法律でそう決まっているために従わなくてはならないものです。とはいえ、繰り返しますが、実際にお金が動いていなくても10万円や65万円を利益から引くことができるわけですから、青色申告は確定申告をする人にとっては非常に有利な制度であると言うことができます。
3.まとめ
青色申告を利用することは、確定申告をする人にとって非常に大きな選択となります。大家業の鉄則と言っても過言ではありません。大いに利用しましょう。