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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第二十三回】
不動産鑑定士×一級建築士 田口 陽一が斬る!③

不動産の本質に目を向けよう ③

不動産鑑定士・一級建築士の田口 陽一です。

皆様、いつも不動産の何に着目していますか?
利回り?立地?価格?

不動産投資家、家主の皆さま、今回の私の4回シリーズは、不動産の本質に目を向けてみたいと思います。

【第1回】数字に目を奪われていないか

【第2回】お金を増やすことに偏っていないか

【第3回】その不動産を残すことにこだわり過ぎていないか

【第4回】金融緩和と資産価格のバランスを忘れていないか

こんな切り口で考えてみましょう。

【第3回】その不動産を残すことにこだわり過ぎていないか

 

その不動産を守る意味は?

その屋敷をこれからも維持管理する意味は?

本当に維持管理と税負担に耐えられるのか。

固定資産税、相続税、庭の管理、崖の管理、山林の管理、
災害や周辺への安全上の配慮、自然災害の増加、最近の近所の人は
権利や損害をハッキリ請求してくる、周辺の空き家の増加、
若い世帯がここのところいなくなった、町会なども高齢化・・・

本当に時代は変化しています。

そもそも先祖代々の人々は子孫に何を残したかったのか。
色々な考え方はあるでしょう。

その土地そのものを残したかったのか。
あるいは、「財産」を残したかったのか。
「子孫の反映」の糧としての富を残したかったのか。

最近はお墓の管理や埋葬についてもだいぶドライな考え方が
世間に登場するようになってきていますね。

話は戻って、その不動産ですが、今後も維持管理できるのでしょうか?
残すことにこだわって、逆に資産が減っていませんか?

もし整理がつくなら、資産を置き換えることで、
「価値」を維持し、あるいは増やすことのできる他の不動産や財産に組み替えるというのも一つだと思います。

最近、そんな考え方の地主さんが増えたように思います。

稼ぐ不動産と負の不動産との差は大きいです。

これは時代の流れだと思います。

不動産以外を見てみれば明らか。

要するに、無駄がなくなり、眠れるリソースが活用される時代になった。

空いている時間の活用、物流の効率化、眠れる労働力の活用拡大、実店舗が減り
アマゾンなどネット上での物販が増加している・・・

稼げるもの、あるいは、活用できるものは保有し高度利用する、
稼げない、あるいは、維持管理の負担が大きいものは手放し、
活用できる使い手に譲っていく、
こういった流れが加速していると思うのです。

不動産の場合、単純に言い切れない部分もありますが、
単に思いや気持ちだけでは維持することのできない時代に突入したと思うのは私だけでは
ないと思います。

課税は容赦ない。所有者責任も容赦ない。

「不動産を持っていたら、税金を払うのは当たり前。
財産持っている人から税を取るしかないのさ」役所って、このくらい簡単に考えていなか?と思ってしまう。

本当に行政は、不動産を維持する事の大変さが分かっているのだろうか。

今にも崩れそうなこの崖、危ないけどお金もないし
どうにもならないよ、行政で受け取ってくれよ。

これは社会問題です。空き家だけではない。

こういう流れは今後加速するだろうと思います。

すなわち、不動産は二極化する。今以上に二極化する。

だから、今後どうしたいのか、どのような資産設計や生活設計を企図しているのか、
よく考えて不動産戦略も考えたいと思いませんか?

それではまた来週。

ABOUT ME
田口陽一
明治大学理工学部建築学科卒業。一級建築士、不動産鑑定士、宅地建 物取引士、マンション管理士。東京建物株式会社にて、不動産鑑定評 価、都市再開発、オフィスビル売買・運営、SPCスキームを活用した 不動産事業等、理論・実務の両面から不動産業務を経験し実績を残す。 不動産ソリューションは、実践的経験が何より重要であるばかりでな く、建築・税・法務・金融・理論的評価・現実の売買等々、複合的領 域にわたることから、常に複眼思考でベストな解決策を構築している。 鑑定評価や売買のみならず、バランス重視のハイブリッドなアドバイ ザリーを得意とする。
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