大家さんが知っておくべき投資分析③
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの駒崎竜より、お届けいたします。
●借入金が返済できるか?
前回、DSCR(借入金償還余裕率)の話をしました。
もういちどおさらいすると、
DSCR=NOI÷年間元利金返済額
という計算式で値を出します。
格付機関などは、DSCR1.6を投資適格レベルと判断している場合があります。
借入金の利用は、少ない資金でキャッシュフローを生み出すことができますので、利回りにレバレッジをかけることができます。
また、相続税対策を考えると手元資金は納税資金を確保するための生命保険などに組み替ることが有利でもあります。
ただし、金利上昇や大規模災害が発生し賃貸経営に悪影響が及んだ場合には、返済不能になる恐れがあります。
そのため、投資適格がどうかを毎年チェックをし、DSCRが1.6を大きく下回る場合は、一部繰上返済をしてキャッシュフローを向上させることも大切です。
●繰上返済の考え方
この一部繰上返済については、相続税対策の観点で考えると債務控除額を減少させますので、相続財産を増やしてしまうと感じる人もいらっしゃいます。
たしかに債務控除額は下がりますが、繰上返済をすることで現金も減少し相殺されますので、相続財産が上がることには繋がりません。
また、一部繰上返済を所得税の観点から考えると建設費にかかる借入金の利息を減少させます(元金が減り利息が減るため)ので、損益計算の経費が減少し所得税や住民税を増やしてしまうという意見もございます。
この考えも正しいのですが、所得税が上がる視点だけで考えるのではなく、借入金の返済額を引き下げてキャッシュフローが増加するという視点も大切です。
(返済額軽減型の繰上返済方法)
所得税などの税金を増やさない為に銀行へ利息を払うか、利息を減らして手元資金を増やすのか、長期的に検証することが大切です。
このように、賃貸経営は、相続税対策や所得税対策などの節税面だけを考えるのではなく、投資としては適格なのか、資金繰りが悪化した場合は事業を継続できるのかを常に検証することが重要です。