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岩松正記の数字・大事・いい感じ!
第二十九回「同族会社を活用した修繕費の注意点」

大家さんが合同会社を設立して事業運営に活用する事例を目にすることが増えてきました。最近あった事例から、その際に注意しなければならない点を紹介します。

1.法人設立は節税のため?

(1)最近は合同会社が多い

大家さんが節税等のために法人を作る、というのは以前からよく見られる風景です。特にサラリーマン大家さんなどで勤め先に不動産投資を知られたくないという場合には、配偶者や家族を代表にし、設立費用が安い合同会社を設立するケースが多く見受けられます。

この法人をどう活用するかについてはいろいろな方法がありますが今回は管理会社として利用するケースを取り上げます。

(2)個人の経費は法人の利益

管理会社として自分の会社を利用する際に、もっとも多いのは、個人所有物件の管理費用をその法人に支払う、というケースでしょう。修繕や物件管理をこの法人に依頼する場合、個人から法人に支払う金額は個人の経費になります。
逆に、法人の方では売上(収入)になるのですが、この法人から作業等を外部委託した場合には、外部へ支払う費用は法人の経費となります。

2.実態が重要

(1)定額支払いに注意

自分の会社と管理委託契約を結び、毎月個人から定額で修繕費や修繕積立金を支払っていた大家さんに税務調査が入り、その経費が否認された事例がありました。ただし、定額で支払っていた全額が否認されたのではなく、実際に修繕に使われていた分は必要経費として認められました。滞納家賃は「契約が確定しているから」収入にしなければならないので、この大家さんは「管理委託契約で債務が確定しているのだから全額経費になるはず」と主張したのですが認められませんでした。
要するに、個人と法人との間で契約は確定していても、その契約で定められた要件(この場合は修繕)が確定していない部分はダメ、となったわけです。

実はこの大家さん、自分の会社に対しコンサルティング料も支払っていたそうです。しかしこれも実態がないとのことで個人の必要経費が認められませんでした。

(2)実態の伴わない支出はダメ

この大家さんは、自分の会社との管理委託契約は、清算を伴わない固定依託費一括払い一括請負業務契約(ランプサム契約)であると主張したのですが、認められませんでした。

いくら契約書で債務が確定しても、実態がないものはいわば架空契約です。認められないのは当然と言えましょう。本当に修繕の工事が行われているのか、確認されるのはなおさらです。もしこれが支払い先が第三者である業者さんだとしても、定額で支払った金額のうち、きちんと修繕が伴っていない場合には経費にはならないと考えるべきでしょう。

3.まとめ

税の世界では「実態」が重要視されます。
契約書があってもダメな場合があるのだということは覚えておいていただきたいところです。

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岩松正記
岩松正記
相談指名数東北・北海道地区1位になったこともある税理士。 山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無職を経験後に開業。地方在住ながら東京から米国・東南アジアにまで顧客・人脈を持つことから、税務だけでなく様々な投資情報の提供も行っている。ロータリークラブ、青年会議所等で役員を歴任。 税理士会の役員に就く他、元査察の税理士に仕えていたため税の世界の裏事情にも詳しい
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