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森広忠の名古屋大家道
第二十六回「大家さんの相談で驚いたこと⑤㊦ 地主系大家さんの悲しい話」

「大家さんの相談で驚いたこと」の最後の⑤㊦は、私が税理士になった動機のひとつの悲しい話を書きたいと思います。

10歳前後の子供時代の話です。
私の家にたまに遊びにみえる祖母の友人のお婆さん、Aさんがみえました。

Aさんは、みかけはふつうのお婆さんでしたが、未亡人の地主さんでした。
私が住んでいる地域にいくつも土地をお持ちで、飲食店などに貸したり、広大な畑を耕していたりで、かなり裕福な方だったようです。
私はAさんにはよくしていただき、可愛がってもらった覚えがあります。

そのAさんが亡くなりました。
地主さんということで、土地をめぐる『相続』になったようです。
娘さんと息子さんがみえたのですが、『相続で大喧嘩』
お互い弁護士を雇い裁判所を通じての『相続財産争い』に発展しました。

決着はついたのですが争いの途中で、
長男さんは心労のため病気で『お亡くなり』になってしまいました。
残されたのは長男さんの奥様とまだ小さなお子さん。
亡くなった長男さんは『まだ20代か30代だった』と思います。

お金の争いで、兄弟で非難しあい、結果的に相手を間接的に殺してしまった。
子供ながらに印象に残る『不幸な思い出』でした。

その他にも祖母の親類の地主家系では、兄弟で土地をめぐる争いが起こり、
兄の土地に弟がゴミをまき散らすという、
『土地をめぐる兄弟げんか』の話を聞いたことがあります。
弟は葬儀や法事にも一切来ないそうです。

土地や土地を活用してのお金があってもすべての人が幸福とは限らない。
むしろ大きな土地やお金を相続して、重荷に感じる人も多い。
土地やお金を所有し、有効活用していく人にも『器(うつわ)』があり、
器の小さな人が相続してしまった場合、周りに争いやゆがみが生じてしまう。

こういった悲しい話を防ぎ、地主系大家さんと寄り添って
二代目さん、三代目さんの地主さんをお助けし、
適切なアドバイスをできるのは誰なのか?

弁護士なのか、司法書士なのか、公認会計士なのか、行政書士なのか?
私が悩んだ末に出した答えは、『税理士になること』でした。

税理士は、税という毎年必ず発生する仕事で信頼を勝ち得ることができます。
そのうえで、争いを防ぎ、二代目さんらの器をあげていくアドバイスを徐々にしていき、
『お客様の家系全体の役に立てたらという思い』で税理士になる決断をしました。

私自身も地主の末の家系で、地主の気持ちがよくわかります。

税理士になるにあたって友人の税理士から、
「森さんはお金持ちだから税理士なんてならなくていいのに」
と心無い言葉をかけられたこともあります。

税理士事務所で修行していた時も実家が土地持ちだと知っている所長から
「お前は生活に困らないから」と首にされたこともあります。

悲しい思いをバネに。
自らの生まれ持ったアイデンティティーを生かしながら、
お客様になっていただいた皆さんのお役に少しでも立てればと思っています。


【初夏から育てていたピーマンは妻が肉詰めにしてくれて美味しくいただきました】

まとめ

・ お金があってもすべての人が幸福とは限らない

・ 土地やお金を所有し、有効活用していく人にも「器(うつわ)」がある。

・  私は『お客様の家系全体の役に立てたらという思い』で仕事をしています

ABOUT ME
森広忠
名古屋市出身、名古屋経済大学大学院卒業後、2008(平成20)年シンプルタックス森会計【森広忠税理士事務所】設立。税理士として、個人事業・中小企業の顧問を行う。実家が古くからある地主で、不動産賃貸業をアパート、貸倉庫、貸地、貸家、月極駐車場で営んだ経験あり。 顧問先に不動産賃貸業者が多く、不動産・不動産管理会社を利用した所得税・法人税・相続税の節税相談の経験が多くある。
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