大家さんの相続を考える! ①
こんにちわ。
保険×不動産マイスター 津曲(つまがり) 巖(いわお)より、お届けいたします。
今月号は、民法大改正の「遺言書」以外のところをお話させて頂きます。
第1回の本日は新しく創設された『配偶者居住権』についてメリット、 デメリットなど実務の観点からみていきます。
●「配偶者居住権」とは?
この「配偶者居住権」は今回の目玉ともいうべきもので、相続開始後 「一定期間」配偶者に今まで通り済む権利「居住権」を与えるというものです。
改正前は、自宅の土地建物を被相続人(お亡くなりになられた方)から、 居住者以外の相続人が相続した場合、居住者(多くは配偶者)は時として、住まい
を追われる状況が多く発生していました。
高齢になって住まいを失うことはとても大きな問題でした。
また、自宅を「相続財産」として受け取るとほとんど「現金」を相続できなく
なるなどの問題が表面化していました。
この問題解決の切り札として登場したのがこの「配偶者居住権」です。
配偶者は従前の通り「居住」できる権利を遺贈や遺産分割協議により得ること
ができるということです。
この居住権には次の通り二通りの権利があります。
●「配偶者居住権」の種類は「短期」と「長期」の二通り
① 短期居住権とは、その住居に無償で住んでいた配偶者に認められるもので、
遺産分割が調うまでの間(最低6か月間)、無償で使用できる権利です。 遺産分割協議により「長期居住権」を取得した場合は、消滅します。
②長期居住権とは、贈与や遺産分割により発生した居住権で無償で 一生涯済むことができるというものです。最も配偶者にとって手厚いものとなります。
さて、この居住権、問題はないのでしょうか?
●「配偶者居住権」の『評価』はそう決める?
相続の現場では、今までのメルマガでも書いてきましたが、 まず「ヒト」=法律で相続する権利を持っている人(法定相続人)を特定することは もちろんですが、「正確に」その相続財産を『評価』することがとても重要です。
特に、「不動産の評価」は専門性も高く、評価する人が十人いれば十通りの 評価があると言われるくらいです。
そんな中で、今回の「居住権」(長期)の評価をどのようにしていくのか、 まだ決定されたものはありません。
賃貸物件として借地借家の考え方で評価(底地と借地割合、借家割合を検討する)等 明確な方法は規定されていません。
相続で争いが起こりそうなケースでは慎重に検討すべきです。
尚、当該「配偶者居住権」は、2020年4月1日施行となっています。
これから上記の件について行政当局の見解など注視していきましょう。
次回も、引き続きよろしくお願いいたします!