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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第八十五回】賃貸経営のプロ廣田 裕司が斬る!②

●廣田が語る!~工事費用について考える~ その2

大家さん兼不動産屋の廣田です。

「工事費用について考える」第2回目をお送りします。

●分離発注

原状回復工事などの工事を請負うリフォーム会社は、
すべての工事を自社で施工するのではなく、クロス工事、設備工事、電気工事、
ルームクリーニングなど、それぞれ専門の工事業者へ発注し、各々の
工事業者間の調整を行います。当然ですが、リフォーム会社の見積金額は、
専門工事業者の工事費にリフォーム会社の管理費を加味して算出しています。

大家さんが、工事ごとに専門工事業者に直接発注すれば、
リフォーム会社の管理費分だけ、コストダウンになる可能性があります。
この方法は「分離発注」とも言われています。

リフォーム会社は、専門工事業者間の日程、施工範囲の調整、
品質管理の業務を担っていますが、分離発注をすることで、
これらの業務を大家さん自身でやる必要があります。
一括してリフォーム会社へ発注するときより手間がかかります。
大家業以外のお仕事をお待ちの方は、分離発注をすること大変だと思います。

また、工事業者間の調整がうまくできないと、
工事の期間が長くなることもありますし、工事の仕上がりに影響が出ることも
あります。日程調整に手間取り工期が長くなると、入居者獲得の機会損失になり、
分離発注で工事費をコストダウンしても、その効果が相殺されてしまうことも
あります。

工事に関する知識がない人や経験の浅い人には、
あまりお勧め出来る方法ではありません。

●施主支給

通常リフォームの会社は、工事に必要な設備や建材を仕入れ現地で施工しますが、
この設備や建材を大家さん(施主)が仕入れリフォーム会社へ支給することを
「施主支給」と言われています。
設備や建材を安く仕入れられれば、コストダウンになる可能性があります。
現在は、ホームセンターやインターネットで設備や建材を簡単に入手可能です。

施主支給をする時は、リフォーム会社の了承が必要です。
リフォーム会社によっては施主支給の設備や建材を受け入れてくれない会社もあります。

設備や建材が、現地で施工が可能なのか、サイズや仕様も確認の上発注する
必要があります。また、支給した設備や建材に不具合があった場合大家さんの
責任で対応する必要があります。

設備や建材は、サイズ的に大きいものが多いので、
現場に直接納入するように手配しますが、現場(空室)は、
通常無人で施錠されている訳ですから、納入される日程に合わせて現地に出向き、
受け取りが必要になります。
また、工事の工程に間に合うように納期を調整する必要もあります。

施主支給は、コストダウンできる可能性はありますが、
納期の調整、現場での受け取り、不具合が発生した時の対応など手間が
増えることも考慮して検討すべきです。

 

ABOUT ME
廣田裕司
〇空室相談、賃貸経営全般 有限会社丸金商事 取締役 合同会社アップ 代表社員 大学卒業後、メーカーに勤務、主に土木、建築資材営業 生産管理を経験。2001年に妻の実家の賃貸事業をベースに、有限会社丸金商事を設立。同社の取締役に就任し、(当時は兼業)賃貸経営の関わるようになる。2008年に相続により同社代表取締役に就任。翌2009年の会社を退職し専業となる。現在までに3回 新築物件(6棟、27戸)を手がけ、12棟90戸所有。2019年合同会社アップ設立。
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