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【第279回】弁護士 関 義之が斬る!     「合同会社の「社員」について」 その4

●合同会社の「社員」について

こんにちは。弁護士の関です。

合同会社の「社員」について、続きを書いていきます。

●持分の譲渡

前回、会社が成立した後に社員が加入するのは、次のような場合であるとして、
①.について解説しました。
①.設立時と同じように、新たに出資して、社員として加入する(同法604条)
②.既存の社員が持分の全部又は一部を他人に譲渡する(同法585条1項)
③.既存の社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合に、
相続人その他の一般承継人が持分を承継する(同法608条)

第4回は、合同会社を事業承継する場合を考えますが、
事業承継には、M&Aにより第三者に売却するケースと、
親族や従業員に承継するケースがあります。
大家さん、特に地主さんであれば、子どもに相続させるケースが多いかと思います。

M&Aにより第三者に売却するケースでは、
2.既存の社員が持分の全部又は一部を他人に譲渡する
(同法585条1項)という方法で第三者を社員として加入させます。
なお、譲渡人である社員は、持分の全部を譲渡すると退社しますが、
一部を譲渡した場合には社員の地位は残りますので、
「一部」を「既存社員以外」に譲渡した場合には、社員数が増え、
議決権割合が変わります。

持分を譲渡するには、当事者間で持分の譲渡契約を締結します。
持分譲渡には、他の社員(業務を執行しない社員の場合には、
業務執行社員)全員の承諾が必要となります(同条1項、2項)。
また、定款変更が必要となり、
総社員(業務を執行しない社員の場合には、業務執行社員全員)の
同意をもって行います(同法637条、585条3項)。
なお、持分譲渡に関して定款で別段の定めをすることができます(同法585条3項)。
例えば、承認の要件を変更したり、
持分の譲渡は一切できないと定めることもできると解されています。

譲渡人である社員が、定款等に基づき定められた業務執行社員や代表社員である場合、
持分の「全部」を譲渡しても、
譲り受けた社員は業務執行社員や代表社員の地位は承継されません。
だれが業務執行社員や代表社員になるかを検討して、必要な手続を確認してください。
なお、「一部」の譲渡の場合には、
譲渡人である社員の業務執行社員や代表社員の地位に影響はありません。

持分の譲渡により業務執行社員や代表社員に変動(退社や加入)がある場合には、
変更登記が必要になります(同法915条)。

M&Aの場合には、買い手が全社員の持分の譲渡を希望するケースが多いと思いますので、
その場合には、一人でも応じなければM&Aの実現は難しくなります。

●社員の相続

次に、子どもに相続させるケースでは、3.既存の社員が死亡した場合に、
相続人が持分を承継する(同法608条、合併の解説は省略します。)
という方法で子どもを社員として加入させます。

社員が「死亡」することは、法定退社事由となっています(同法607条1項3号)。
従って、合同会社の社員の地位は、株式会社の株式と異なり、何も手当をしなければ、
相続の対象となりませんので注意が必要です。
法定退社となった場合には、相続人は持分の払戻しを受けることができます。
このとき総社員の同意があれば、相続人は、払戻しを受けた出資金等をそのまま出資して、
新たに社員として加入することもできますが(前回の解説)、
社員が全員同意してくれるかは誰にも分かりません。

そのため、確実に子どもに相続させたい場合には、
その社員が死亡した場合における当該社員の相続人が当該社員の持分を承継する旨を
定款で定めておく必要があります(同法608条1項)。
この定款の定めがあれば、相続人が持分を承継したときに、
定款変更したとみなされます(同条3項)。

なお、死亡した社員が定款等に基づき定められた業務執行社員や代表社員である場合の  扱いは、前述の持分の譲渡の場合と同じです。
また、社員の相続により業務執行社員や代表社員に変動(退社や加入)がある場合には、
変更登記が必要になります(同法915条)。

●定款自治

第2回解説でも触れましたが、合同会社は株式会社より広く定款自治が認められており、
無制限ではありませんが、
定款で自由に内部ルールを設定することができるようになっています。
しかし、合同会社の場合には、設立時に定款の「認証」が不要なため、
特段内部ルールについて検討することなく、
一般的なひな形を用いて定款を作成してしまうケースもあります。
株式会社とは異なる取扱いがあることを知らずに合同会社を設立し、
想定どおりの会社運営ができずに悩むケースもありますので、合同会社を設立する際には、
相続まで意識して、どのような定款の内容にすべきか、
弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
また、すでに合同会社を設立した方も、一度、定款を見直してみてはいかがでしょうか。

 

 

ABOUT ME
関 義之
関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士・中小企業診断士 平成10年3月に早稲田大学を卒業し、その年の10月に司法試験に合格。平成12年10月から弁護士登録。中小企業の総合支援を目標に掲げ、平成23年10月から中小企業診断士にも登録。法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、契約書の作成・チェック等、紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。
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