東京の中心で税務を叫ぶ 第94回コラム
法人にタダで土地を貸したらダメなの?
法人にタダで土地を貸したらダメなの?
お話しします。
こんにちは!
今回は借地権についてお話します。
先日、下記のようなご質問を頂きました。
「親族の会社に土地を貸しています。
その土地の上には、親族の会社の建物がたっています。
親族から権利金も地代ももらっていない状態ですが、何か問題はありますか?」
順を追ってご説明します。
土地の所有者(個人)とその土地の上の建物の所有者(法人)が異なる場合、
土地の借地権が発生します。
この場合、原則的には、法人から個人に権利金の支払いをする必要があります。
権利金の価格は、通常、「土地の価格×借地権割合」で計算しますが、
土地の価格が高いと莫大な権利金を支払うことになります。
まず親族にこの権利金を支払うことができるか確認しましょう。
もし親族どうしだから権利金の支払いは無しにした場合はどうなるでしょう?
この場合、個人から法人に借地権という資産をタダであげたとみなされます。
法人がタダで資産をもらった場合は、法人税が課されてしまいます。
(権利金の認定課税と言います。)
では、この権利金の認定課税を避けるためにどうすればよいでしょうか。
二つの方法があります。
① 相当の地代を受取る
② 土地の無償返還に関する届出書を提出する
相当の地代とは、権利金を受取らないのであれば、
最低このくらいの地代を受取ってくださいと国税が定めた地代の金額で、
「土地の価格×年6%くらい」で計算します。
ただ、土地の価格が高いと相当の地代も高くなり、
支払いが大変になるかもしれません。
その場合には、「土地の無償返還に関する届出書」を提出します。
この届出書は、土地を借りている人が、
将来、立ち退き料などを受取らず、
無償で土地を貸主に返還することを宣言する書類です。
この届出書を提出すると、
権利金の認定課税はしないことになっていますので、
権利金や相当の地代を支払わなくても余計な税金を支払わずに済むことになります。
ちなみに、この届出書を提出したうえで、
相当の地代に満たない地代を支払うことは可能です。
また、地代をなしにしてタダで貸すことも可能です。
まとめ
①他人が建物を建てるために土地を貸すと、借地権が発生します。
②「土地の無償返還に関する届出書」を提出すれば、法人にタダで貸すことができます。
③親族どうしであっても、契約書は作成するようにしましょう。
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。