こんにちは!
今回も前回に引き続き、法人化についてお話したいと思います。
前回は物件の移転を伴う法人化は「物件の時価>残債」となっていないと
難しいことをご説明しました。
「物件の時価>残債」の要件を満たしていたら、移転することは可能となりますが、
その他に気を付けること(デメリット)はないでしょうか?
それは、移転のコストが発生することです!
物件の移転=法人への売却となりますので、売却に伴う税金や経費(移転費用)を加味して
判断する必要があります。
①譲渡税
売却金額が簿価金額(取得価額から、今までの減価償却分を控除した金額)を上回ると
売却益が発生し、譲渡税が課税されます。
上記の図で、物件の簿価が7,000万円だった場合、
売却金額1億円との差額3,000万円に対して譲渡税が課税されます。
長期譲渡なら約600万円、短期譲渡なら約1,200万円です。
長期譲渡=譲渡する年の1月1日時点で5年超の所有で税率が20.315%
短期譲渡=譲渡する年の1月1日時点で5年以下の所有で税率が39.63%
なお、「売却金額≦簿価金額」であれば、譲渡税はかかりません。
②その他の税金・経費
物件を法人へ移転する際には、登記費用や不動産取得税がかかります。
2020年時点では下記のようになっています。
《建物を移転する場合》
登録免許税 建物の固定資産税評価額×2%
不動産取得税 建物の固定資産税評価額×3%(住宅以外は4%)
《土地を移転する場合》
登録免許税 土地の固定資産税評価額×1.5%(売買の場合)
不動産取得税 土地の固定資産税評価額×1/2×3%(宅地の場合)
《抵当権設定をする場合》
登録免許税 債権金額×0.4%
また、登記を司法書士に依頼する場合、司法書士報酬が別途発生します。
たとえば、法人化で毎年50万円の節税ができても、
移転費用(初期費用)が1,000万円かかった場合は、その回収に20年かかってしまいます。
これは法人化のメリットがあったといえるのでしょうか???
まとめ
①物件移転を伴う法人化は移転費用がかかる
②移転費用を何年で回収できるかシミュレーションが必要