『大家さんの火災保険』
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
今月の特集2回目は「アパートの火災保険、適正に加入する方法」についてです。
火災保険加入前に確認する資料
居住用住宅の火災保険は、建物の所在地(都道府県)、構造級別、延床面積、
保険金額(再調達価額)、補償プランで保険料が決まりますので、
見積書の作成を依頼するには、これらの情報を保険代理店に伝える必要があります。
所在地、構造、延床面積は、「建築確認申請書」にて確認することができます。
保険金額は、売買契約書や請負契約書、工事見積書にて確認します。
補償プランはハザードマップを参考に検討します。
適正に加入する方法 1.保険金額を適正価額に設定する方法は、
建物本体工事費がどのくらいなのかを確認することから始まります。
火災保険の保険金額は、所在地・構造・延床面積により、 上限額と下限額が設定されていますので、
その範囲内で実際の建物建設にかかる費用(再調達価額)に合わせて設定するのが
適正な保険価額に近づける方法になります。つまり、見積書などを参考に、
再調達価額が実際にどのくらいになるかを確認しないと、物件が災害などに遭い、
復旧するときの費用が足りなかったり、保険金額の掛けすぎになるということになります。
特に外構工事費用などは含める必要性がありませんので、
しっかりと保険金額算出のための参考資料を確認しましょう。
2.構造級別を適切に確認する方法は、
用法(共同住宅か独立住宅)と建築確認申請書の第四面という資料で確認をします。
木造建物の場合でも、建築基準法上の「耐火建築物」、「準耐火建築物」または 「省令準耐火建物」に該当するものは、M構造かT構造に該当しますので、
それに該当しないH構造と比較して保険料を安く加入することができます。
「省令準耐火建物」の場合は、建築確認申請書では確認ができないため、
建築会社に確認し、一級建築士による証明が必要になりますので、
3.補償プランを適切に確認する方法は、
建物の道路付けを現地確認することとハザードマップを確認することです。
道路付けの確認が必要な理由は、
“”建物外部からの飛来“”という補償が必要かどうかを検討するためです。
損害保険会社により、飛来の補償がセットされている場合と選択式の場合がありますが、
道路に面しているアパート等の場合、 門や塀が車によって損害を受ける可能性があるのです。
寝静まった時間帯ですと、そのまま加害者を見つけられないケースも多々あり、
加害者の自動車保険で補填できない場合は、 アパートの火災保険で補填するということになります。
また、道路に面していなくても、入居者の車で損害を受けるケースもあります。
入居者から弁償する旨の申し出がないケースもありますので、 その場合に火災保険で補填をするのです。
次に、ハザードマップを確認する理由は、
水災の補償と地震保険を付加するかの検討材料にするためです。
水災については、洪水ハザードマップを確認し、近隣河川が氾濫した場合の浸水深を確認していきます。
水災の補償は地盤面から45㎝を超える又は床上浸水の場合は補償対象となりますので、
浸水深が50㎝以上の表記になっている地域であれば、 水災の補償は付けるべきかと思います。
最近の洪水被害では、下水処理ができない状況が原因での内水浸水もありますので、
ゲリラ豪雨による被害はハザードマップでは想定されていない点に注意が必要です。
地震ハザードマップは、地震によるゆれやすさや液状化の被害想定が表示されています。
日本は地震大国ですので、もしもの震災に備え、入居者の早期生活再建も踏まえれば、
地震保険には加入しておいた方が良いでしょう。地震保険の詳しい内容については、
次週の特集でご案内いたしますので、お楽しみにしてください。