『大家さんの法人化と金融サービス』
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
今週は、「個人と法人の生命保険加入方法」についてです。
生命保険を考えるうえで重要になるのがライフプランと人生の必要資金についてです。
将来の夢や目標、できごとを具体的にし、
どのような時期にどのくらいの資金が必要になってくるのかを明確にすることで、
今後予想される支出の変化や必要とされる収入を把握することができます。
そうすることにより、貯蓄や資金繰りを計画的に行っていくことができます。
これは賃貸経営の事業計画にも同じことが言えますね。
しかし、死亡や高度障害、病気・ケガ・就業不能状態になると、
資金繰り計画が狂ってしまうことが考えられますので、
そこで活用できるのが生命保険です。
賃貸経営者の場合は、
就業不能状態になっても収入が途絶えることは考えられませんので、
死亡による債務整理や相続対策、
病気・ケガによる治療費の補填として生命保険を活用するのが
主な加入目的になります。
●法人生命保険●
法人で加入できる生命保険には、
死亡保障と資産形成を兼ね備える保険、
死亡時の債務返済に備える保険、病気やケガの入院、
三大疾病による治療費に備える保険があり、
法人が支払う保険料の一部や全部を損金に算入することができたり、
資金繰り悪化による緊急資金について、契約者貸付を利用することができる保険もあります。
保険金や給付金の受取りは会社となり、会社の規程に合わせて、
保険金や給付金を被保険者本人や遺族に支払うことができます。
損金参入ができる点は、個人で加入するよりもメリットです。
また、会社役員等が死亡した時に遺族に支払う「死亡退職金」は、
遺族が受取る死亡保険金の非課税枠(相続税)とは別枠で活用ができます。
そのため、「死亡退職金」の備えとして、解約返戻金が無い法人契約の定期保険が活用できます。
満期が90歳~100歳くらいだと死亡保険金額に対して、
支払保険料の総額を50%未満に抑えることも可能です。
そして、役員の生前退職金の準備として、
解約返戻金のある長期定期保険や逓増定期保険を法人で契約することで
支払保険料総額の85%未満の解約返戻金が望めますので、
死亡保障と資産形成を兼ね備えることもできます。(4割損金)
病気・ケガ・三大疾病に関しては、
医療保険や三大疾病保険などが活用でき、
最高解約返戻率や被保険者の年間保険料に応じて、
支払保険料の全額を損金算入できるものもあります。
このように、個人で加入できる生命保険と同様の保障を法人の契約で加入できる場合は、
損金算入ができる観点からも、法人で加入することが望ましいと言えます。
●個人生命保険●
個人で加入する生命保険は、
生命保険料控除の対象になります。
所得控除は3区分に分かれており、一般、介護医療、年金のそれぞれの所得控除が最大4万円、
合わせて12万円までが所得控除の対象となります。
偏りがないようにバランス良く加入することがお勧めです。
しかし、法人契約している生命保険と同様のものを
重複して加入する必要性は低いです。
一般の生命保険料控除の対象としては、
死亡保障の生命保険がメインとなりますので、
相続税の非課税枠の活用や相続税の納税資金対策、
葬儀費用や個人の債務整理を目的とした終身保険、
定期保険、収入保障保険等が加入対象の生命保険です。
介護医療保険料控除は、
法人契約で加入すれば個人で加入する必要はありませんが、
例えば法人の役員等になっていない家族がいれば、
その家族の医療保険等に加入する程度で良いと思います。
個人年金保険料控除は、将来の年金の不足分を
補うためにも加入するメリットが高いです。
資産形成をしながら所得控除が活用できる点はポイントが高いです。
終身保険や個人年金保険では、
外貨建て保険や変額保険(株式や債券で運用)がありますので、
リターンとリスクと加入目的を踏まえ、幅広い選択肢から検討をしましょう。