2022年度不動産とマネー
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
今月の特集では、『2022年度不動産とマネー』をテーマに情報提供をしております。
4回目は「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」について取り上げます。
相続税の引下げ対策として、定期的な生前贈与を行う暦年贈与の場合、
110万円を超える部分に贈与税が課税されます。例えば、310万円以下の贈与額の場合は、
基礎控除(110万円)を指し引いた金額に10%の税率で課税がされるということです。
贈与税が少なくて済むように暦年贈与をする場合、
金融資産が多い人には効果的ではない相続税対策とも言えます。
そこで活用できる相続税対策の一つとして、
「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」があります。
子や孫の住宅購入資金の援助目的で生前贈与をすれば、
資金援助を受けた子や孫は、一定金額までの贈与は非課税になるというものです。
※ 令和4年以降は「住宅契約日」ではなく「贈与日」基準となる。
令和5年12月31日までの贈与による住宅の取得が対象となります。
贈与者は直系尊属(父・母・祖父・祖母)で、
受増者は受贈年の1月1日において18歳以上の直系卑属
(子・孫)で合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。
この特例は、暦年贈与の基礎控除110万円や相続時精算課税の
特別控除2,500万円と併せて利用できるのがポイントです。
住宅取得等資金とは、住宅用家屋の新築、
取得、増改築に充てるための金銭を指しています。
住宅用家屋の条件には、登記床面積40㎡以上240㎡以下、
中古住宅は新耐震基準に適合するもの、
床面積の50%以上の部分を居住用として利用している等の条件があります。
質の高い住宅用家屋の要件には、断熱等性能等級4、
一次エネルギー消費量等級4又は5、耐震等級2又は3、その他等で、
住宅用性能評価証明書で確認します。
脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策の強化は、
住宅ローン減税や住宅取得等資金贈与の非課税の特例でも本気度があるとわかりました。
省エネ強化については、ここでは詳しくは触れませんが、
住宅購入時の助成金(こどもみらい)や住宅ローンフラット35の金利優遇にも影響を与えています。
この特例を受ける場合の注意点は、贈与税が非課税でも申告が必要という点です。
贈与を受けた年の翌年3月15日までが申告期限です。
期限が過ぎると非課税の適用がされず、贈与の事実のみが残ってしまいます。
この特例は住宅用家屋が対象となっていますが、
家屋の敷地となる土地の購入資金に充てることも対象になると国税庁の回答要旨で確認することができます。
但し、翌年3月15日までに、建物が上棟(屋根を有する状態)していない場合には
特例が適用されませんので、注意が必要です。
今月の特集では、『2022年度不動産とマネー』をテーマに情報提供をしてきました。
主に、不動産に関わる損害保険と税制についてですので、
不動産オーナーの皆さまの参考にして頂ければ幸いです。