渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第147回
今回から相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q 遺産分割をどのように分けるかによって相続税は変わりますか?
A
遺産分割をどのように分けるかによって相続税の総額は変わりません。
配偶者などがいる場合には変わる場合があります。
1. 分割によって変わらない場合
相続税の計算は、次の手順で行います。
①相続時点の次の財産金額をすべて合算する。
②上記の財産額合計した財産から、
借入金などの債務控除を引いて、純資産価額を計算する。
③さらに基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)を引く。
④残った金額(課税遺産相続)を法定相続分に応じて分け、分けた金額に対して税率
(金額に応じて10%~55%)をかける。
⑤計算した税額をすべて合算し(相続税の総額)、遺産を取得した額に応じて配分する。
⑥各相続人による加算や控除を計算して納付税額を算出する。
ポイントは④の部分です。課税遺産総額を一旦、
法定相続分に応じて分けて税率をかけるのです。
どのように分割をしても、法定相続分で分けて税率をかけることになっています。
これは財産をどのように分割しても相続税の総額を変わらないようにするためです。
意図的に相続税を下げたりできないように、
法定相続分で分けて税率をかけるルールになっているのです。
ちなみに、(相続税の計算上の)法定相続分とは、相続放棄があったとしても、
なかったものとした場合の相続分をいいます。
たとえ、相続人の1人が相続放棄をしたとしても、相続税の総額がかわらないように、
相続放棄がなかったものとした場合の相続分で計算するようになっています。
2. 分割によって変わる場合
ポイントは上記の⑥の各相続人による加算や控除です。
相続税の総額はどのように分けるかによって変わりませんが、
納税の段階では変わることがあります。
例えば、配偶者が相続した分については、配偶者の税額軽減という控除があり、
取得した財産が最低1億6,000万円
(法定相続分が1億6,000万円より多い場合には法定相続分まで)は
相続税がかからないようになっています。
財産が1億6,000万円以下であれば、配偶者が全額相続することで、
相続税をゼロにすることが可能です。
ただし、配偶者の相続(二次相続)のときに相続税が大きくかかる可能性があります。
二次相続まで踏まえた分割の方法を検討する必要があるのです。
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