渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第160回
今回から相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q
土地の相続税評価は路線価で計算しますが、
路線価に面積をかけて評価額を出すのであれば、
同じ面積の土地は同じ評価になりますか?
A
土地の相続税評価は、面積だけで決まるものではありません。
実際の評価額は、土地の形状によって、異なります。
1.路線価とは
路線価とは、国税庁が毎年7月1日に発表する道路ごとの標準価格のことで、
路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額
(千円単位で表示)のことです。
通常はこの路線価に地積(面積)をかけて基本的な評価額を出します。
しかし、路線価が想定する標準的な宅地とは、整形地といって、
長方形や正方形などのように、ある程度形が整っている土地です。
整形地ではない土地については、路線価を補正する必要があるのです。
2.土地の評価は使い勝手による
評価の違いは、「土地の使い勝手」です。
使い勝手は、道路にどのように接しているかによって異なるのです。
例えば、道路付けが1つしかない土地と、
2方の道路に接している土地では、後者の土地の方が評価が高くなります。
また2方の道路に接している土地でも、
表の道路と裏の道路に接している土地よりも、
表と側方に接していて角地になっている土地の方が評価が高くなります。
道路に接する方向を間口、道路に垂直な方向の長さを奥行といいますが、
間口の距離や奥行きの距離によって減額がされるようになっています。
具体的には、路線価を次のような補正率を使って調整(加減算)します。
◯奥行価格補正率・・・奥行きが短すぎる、または長すぎる土地に減額
◯側方路線影響加算率、二方路線影響加算率・・・2つ以上の道路に接している場合に加算
◯不整形地補正率・・・整形ではない土地の形によって減額
◯間口狭小補正率・・・間口が狭すぎることの減額
◯奥行長大補正率・・・間口に対して奥行きが長すぎることの減額
◯地積規模の大きな宅地の評価・・・土地が広すぎることの減額
など
4.間口が広いことは減額にならない理由
上記の補正率を見ると、奥行が長すぎる土地の減額はされますが、
間口が広すぎる土地は減額がされません。
これは、間口が広すぎても、道路に接しているため、
羊羹のように、土地を分けて(分筆)
すれば土地をいかようにも利用できることになるためです。
土地に建物を建築する場合には、接道義務といって、
道路に2メートル以上接していなければならないというルールがあります。
奥行き長い場合には、土地を分けても、
道路と接している部分がないため、
使えない土地になってしまうのです。
つまり、間口の広さは土地の有用性が上がると考えられ、
減額されないのです。
以上のように、土地の相続税評価は、
単純な面積だけではなく、
土地の形状や道路付けなどの要因が複雑に絡み合っています。
そのため、面積が同じ2つの土地でも、
相続税評価額は大きく異なることがあります。
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