渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第167回
今回から相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q
海外では株式などの売却益に課税されないところがあります。
海外に転出した後に、株式などを売却することで
税金を逃れることができるのでしょうか?
A
過去、海外に転出して資産を売却することで、
税金を逃れたことはできました。
しかし、2015年に「国外転出時課税制度」(いわゆる出国税)を導入されたことで、
富裕層が海外に移住して資産を売却することで日本の税金を逃れることが塞がれました。
1. 国外転出課税とは
国外転出時課税制度は、1億円以上の有価証券(株式など)を所有する個人(居住者)が
国外に転出する際に、保有する資産の未実現利益(含み益)に
対して所得税を課税する制度です。
ポイントは、まだ売却していないにもかかわらず、
海外に出国する際に、出国日の価額(終値)で
売却したものとみなして税金がかかることになるのです。
2. 国外転出時課税の対象資産は?
対象資産に
◯株式、公社債、投資信託などの有価証券
◯匿名組合契約の出資持分
◯未決済デリバティブ取引、特定の未決済信用取引
などです。
株式は、上場株式以外の非上場株式の株式も含まれます。
同族会社を所有している場合には、その株式も対象になるのです。
なお、仮想通貨(暗号資産)は、
仮想通貨: 現時点では対象資産に含まれていないため、
国外転出時の課税対象外です。ただし、
法改正により将来的に対象となる可能性はあります。
3.課税されない手続き
海外転勤や一定期間海外に在住して、
将来日本に戻ってくる可能性がある場合には、
納税猶予の手続きをすることで、出国時の課税がされないことになります。
この場合には、原則として、納税額に見合う担保を提供する必要があります。
その他、毎年「継続適用届出書」を税務署に提出する要件などがあります。
最長5年間(さらに5年間の延長可能)の納税猶予が認められます。
なお、納税猶予の手続きをせずに、
出国時の税金を払った場合、5年以内に日本に帰国をすれば、
引き続き所有している有価証券については、
納付した税金が還付される仕組みになっています。
一定の有価証券をお持ちの方が海外転出をする場合には、
気をつける点が多くなっています。
事前に税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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