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相続人のなかに非居住者がいる場合の注意点

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第168回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q 相続人の中に、海外に居住している妹がいます。
この妹が相続する財産について相続税がかかるのでしょうか?

A
1. 相続人が非居住者とは
相続などで財産を取得した時に外国に居住していて
日本に住所がない人を非居住者といいます。
外国に居住していても、日本の相続税が課税されます。
海外にある財産について、
日本の相続税が課税されない場合がありますが、
それは、被相続人及び相続人が10年以内に日本に住所がない場合です。

被相続人(亡くなった方)が日本に居住していれば、
相続人がどこにいても、すべての財産に相続税がかかるのです。

2.国外転出課税が適用される場合
国外転出課税制度とは、日本国内に居住していた者が海外に転出する際に、
1億円以上の有価証券などを保有している場合に、
その含み益に対して所得税が課税される制度です。
この制度は相続にも適用されることがあります。

具体的には、被相続人が1億円以上の有価証券等を保有していた場合、
非居住者である相続人がその資産を相続すると、
相続開始時点でその資産が売却されたものとみなされ、
被相続人の所得税として課税されます。

この場合、相続人は被相続人の死亡日から4ヶ月以内に準確定申告を行い、
納税する必要があります。

また、納税資金が不足している場合には、
納税猶予を利用することも可能です。

なお、納税猶予の手続きをせずに、
出国時の税金を払った場合、5年以内に日本に帰国をすれば、
引き続き所有している有価証券については、納付した税金が還付されます。

3.未分割に注意
国外転出課税を避けるためには、
有価証券を非居住者である相続人に、
相続させないように分割することが必要です。

しかし、相続人間で揉めて、
遺産分割協議がまとまらない可能性があります。

国外転出(相続)時課税の申告期限である、
被相続人の死亡日から4ヶ月以内に遺産分割が確定していない場合には、
民法の法定相続分の割合で非居住者である相続人に
有価証券の移転があったものとして、
課税の対象になります。

なお、その後の遺産分割協議が成立すれば、
再計算を行うことができます。

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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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