渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第170回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q 私が経営する会社の株式を、株価が上がってしまう前に
子どもに生前贈与したいと考えています。
ただ、現在、子どもが海外に住んでいます。
将来的には日本に戻ると思いますが、いつ戻るかわかりません。
子どもが海外に住んでいても、相続時精算課税制度による贈与は適用できますか?
A
1. 相続時精算課税制度が適用できるか?
相続時精算課税制度は60歳以上の親や祖父母から、
18歳以上の子や孫へ、2,500万円までは贈与税がかからずに、
贈与ができる制度です。
将来、贈与した親が亡くなった時には、その贈与した財産は全て、
その親の相続財産に含めて相続税が計算されます。
相続税に加算される価額は、贈与時時点の価額です。
自社株式(非上場株式)など、
将来的に価値が上がっていくことが確実なものを贈与すると、
贈与時点の価格で相続税がかかることになり、有利になります。
さらに、令和6年1月1日の相続時精算課税制度による贈与から
110万円の控除が創設されました。
相続時精算課税制度は、海外に居住している子どもに対しても適用可能です。
この制度の適用には居住地の要件が含まれていないため、
子どもがどの国に住んでいても利用することができます。
2.国外転出課税が適用される場合
国外転出課税制度とは、日本国内に居住していた者が海外に転出する際に、
1億円以上の有価証券などを保有している場合に、
その含み益に対して所得税が課税される制度です。
この制度は贈与にも適用されることがあります。
具体的には、贈与者が1億円以上の有価証券等を保有していた場合、
非居住者である受贈者がその資産の贈与を受けると、
贈与時点でその資産が売却されたものとみなされ、
贈与者の所得税として課税されます。
この場合、1億円以上の判定は、
非居住者へ贈与した贈与対象資産の価額のみで判定するのではなく、
その贈与対象資産の価額を含めて、
贈与者が贈与の時に所有等していた全ての
対象資産の価額の合計額で判定することになります。
納税資金が不足している場合には、
納税猶予を利用することも可能です。
なお、納税猶予の手続きをせずに、出国時の税金を払った場合、
受贈者が5年以内に日本に帰国をすれば、
引き続き所有している有価証券については、
納付した税金が還付されます。
出国税は、自分が出国する場合、相続の場合、
贈与の場合の3パターンあることにご注意ください。
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