渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第172回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q 生前贈与を受けていても、
相続放棄することはできるのでしょうか?
A
1.相続放棄の要件と生前贈与との関係
相続放棄をすることにより、
相続人は「はじめから相続人ではなかったもの」として扱われます。
プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しません。
相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、
家庭裁判所に申述する必要があります。
相続財産を受け取っていないことが条件となります。
相続財産を受け取った場合には、相続を承認したとみなされ、
相続放棄が認められない可能性があります。
特に、相続財産を処分したり、使用したりした場合は、
相続放棄ができなくなります。
贈与を受けていないことは、要件にはなっていません。
ですから、生前贈与を受けていても、相続放棄は可能です。
生前贈与と相続放棄は独立した手続きであり、
互いに影響を及ぼすものではないのです。
2.詐害行為取消権に注意
生前贈与を受けていても、
相続放棄自体は可能ですが、
詐害行為取消権に注意が必要です。
詐害行為取消権とは、
債務者が債権者を害することを知りながら行った行為について、
債権者がその行為を取り消すことができる権利です。
贈与者(被相続人)に多額の借り入れがありながら、
生前贈与をしていたことが発覚した場合に、
債権者によって贈与が取り消される可能性があります。
3.相続放棄しても相続税が課税される場合
生前贈与を受けた場合でも、
相続放棄をした人には通常、
相続税は課税されません。
相続前7年以内の贈与であっても、
相続税は課税されることはありません。
7年以内の生前贈与が相続税課税される場合は、
相続または遺贈で財産を取得した人に限定されています。
相続放棄をした人は相続人ではないため基本的には対象外です。
しかし、以下のようなケースでは、
7年以内の生前贈与についても、
相続税が課税される可能性があります。
(1)生命保険の受取
相続放棄をしても、生命保険金を受け取ることができます。
この場合、受取人が相続人でない場合は遺贈とみなされ、
相続税が課税されることになります。
(2)相続時精算課税制度
この制度を利用して生前贈与を受けた場合、
贈与税は2,500万円まで課税されませんが、
すべて相続税の課税対象となります。
相続放棄しても、遺贈で取得したとみなされて、
相続税が課税されることになります。
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