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株価評価の落とし穴!3年以内に取得した土地建物その2

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第182回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q 法人の株価評価を計算するにあたって、
3年以内に取得した不動産というのは、具体的にどのような判定をするのでしょうか?

A
同族会社が不動産を取得してから3年以内に相続が発生した場合には、
不動産は「通常の取引価格に相当する金額」で評価されることになります。
つまり、土地は路線価ではなく実勢価格、
建物は固定資産税評価額ではなく実際の建築費用に近い金額で評価されるのです。
これにより、相続税評価額の引き下げ効果が得られなくなってしまいます。
この要件を具体的にみていきます。

1. 3年以内の時点の判定
3年以内かどうかの判定は、課税時期(相続開始日)を基準として行います。
例えば、相続開始日が2024年10月1日の場合、
2021年10月1日以降に取得した不動産が対象となります。

法人の決算日との関係については仮決算基準ではなく直前期末基準を採用していても、
つまり、直前期末の貸借対照表を基に純資産価額を計算する場合であっても、
3年以内かどうかの判定は課税時期から遡って行います。

これは、直前期末方式が実務上の便宜を図るものであり、
課税時期を変更するものではないためです。

2. 取得の範囲
「取得」の範囲は売買に限定されず、以下のような場合も含まれます。

・交換や買換えによる取得
・現物出資による取得
・合併や会社分割による取得
・代物弁済による取得
・事業譲受けによる取得

合併や会社分割での取得も「取得」に含まれるため、注意が必要です。
例えば、適格合併の場合、
貸借対照表上は帳簿価額で引き継がれますが、
通常の取引価額で評価されます。

3. 対象となる不動産とは?
対象となる資産は以下の通りです。
(1) 土地等
・土地
・借地権などの土地の上に存する権利

(2)建物等
・家屋
・家屋の附属設備
・構築物

土地については、借地権も含まれるため、
単に所有権のある土地だけでなく、
借地権も対象となります。
建物については、本体だけでなく附属設備や構築物も含まれます。
例えば、建物に付随する電気設備、給排水設備、エレベーター、
屋外の広告塔、機械式駐車場、フェンス等の構築物も対象となります。

なお、3年以内に建物の増築があった場合、
旧建物部分は固定資産税評価額で評価しますが、
増築部分は新築と同様に取り扱われるため、
通常の取引価額で評価します。

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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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