ブログ

専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第269回】賃貸経営のプロ廣田 裕司が斬る!②

大家さんのための相続対策

こんにちは。廣田裕司です。

今回は、「大家さんのための相続対策」ついて前回の続きを書いていきます。

3.大家さんの相続の問題点

大家さんの相続の問題点としては
・事業承継
・財産分割の問題
の2つがあげられます。

(1) 事業承継
大家業(賃貸経営)は事業です。単純に物件を引き継ぐだけで良いのでしょうか?
確かに、ほかのビジネスに比べれば、大家業は手間がかからない事業かもしれません。
手間がかからないからか、大家業に関してお父さん(お母さん)が一人で対応していて、
ほかの家族は全く知らないという一家も多いと思います。収益物件があること自体を、
相続が発生して初めて家族が知ったという事例もあります。
このような状態で突然 相続が発生して収益物件を引き継いでも、
困ってしまうことは目に見えています。
例えば、担当者の名前を知らなければ、
管理会社との連絡を取るときに戸惑うことになります。
戸惑う程度ならよいのですが、ノウハウが承継されないまま、
大家業を引き継いでも、うまく経営ができず、
最悪の場合 破綻して物件を手放すことになる可能性もあります。
また、契約書など大家業に関わる書類に関しても、
お父さん(お母さん)は保管場所が分かっていても、
ほかの家族の方にはさっぱり分からないので、やはり困ることになります。
大家業上で、管理会社やそのほかの業者の名前、担当者、契約書などの
書類の保管場所の他に、どのような考えで大家業を進めてきたかを、
早い段階で次世代へ伝える必要があると思います。

 

(2) 財産分割の問題
財産の分割問題は、大家さんに限ったことではないのですが、
特に大家さんの財産は、分割が困難な不動産が多いため、
分割でもめないように準備することが特に重要になります。
公平な分割方法として、物件の所有権を共有する方法もありますが、
特に、アパート、マンションなどの収益不動産を共有すると、
経営上の判断で意見がまとまらず、タイムリーな経営判断を下すことができず、
物件の維持管理がうまくいかなくなります。仲の良い兄弟でも、
互いに家庭をもち、経済的は背景も違っているため、
意見がまとまらないことが予想されます。
また、時価評価が等しい自宅とアパートをそれぞれ別の相続人に分割しても、
自宅は収益を生みませんが、アパートは相続したときから家賃収入を得られます。
時価評価が同じで公平に分割したつもりでも、不公平感は否めません。
大家業のノウハウの承継と同様に、早い段階から、
次世代の方と分割について話をしておくことが重要です。

すべての収益物件を売却して現金化すれば、
ノウハウに承継の必要ありませんし、
分割問題もかなり楽になります。
しかし、すべての大家さんができる方法ではありません。
大家さん独自の問題点を意識して相続対策を検討する必要があると思います。

 

 

ABOUT ME
廣田裕司
〇空室相談、賃貸経営全般 有限会社丸金商事 取締役 合同会社アップ 代表社員 大学卒業後、メーカーに勤務、主に土木、建築資材営業 生産管理を経験。2001年に妻の実家の賃貸事業をベースに、有限会社丸金商事を設立。同社の取締役に就任し、(当時は兼業)賃貸経営の関わるようになる。2008年に相続により同社代表取締役に就任。翌2009年の会社を退職し専業となる。現在までに3回 新築物件(6棟、27戸)を手がけ、12棟90戸所有。2019年合同会社アップ設立。
さらに詳しく知りたい方へ