渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第183回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q法人の株価評価を計算するにあたって、
3年以内に取得した不動産は、
時価評価をしなければならないと聞きました。
現在、賃貸しているのですが、
賃貸していることによる評価減は適用できますか?
A
同族会社が不動産を取得してから3年以内に相続が発生した場合には、
不動産は「通常の取引価格に相当する金額」
つまり、時価で評価されることになります。
つまり、土地は路線価ではなく実勢価格、
建物は固定資産税評価額ではなく実際の建築費用に近い金額で評価されるのです。
これにより、相続税評価額の引き下げ効果が得られなくなってしまいます。
この場合、賃貸していることによる評価減
(貸家評価や、貸家建付地評価)は適用できるのでしょうか?
これは、取得した時に、
その不動産が賃貸していたかどうかによって変わります。
(1)取得時に賃貸していた場合
会社が3年以内に取得した不動産が、
取得時点ですでに賃貸されていた場合は、
原則として貸家建付地評価を適用することはできません。
評価減を適用できない理由は次の通りです。
①取得時の価格に賃貸状況が反映済み
賃貸中の物件を購入した場合、
その取得価格にはすでに賃貸による価値の低下が織り込まれています。
つまり、市場価格として賃貸状況を考慮した金額で取引されているため、
さらに評価減を行う必要がないと考えられます。
②時価評価の原則
3年以内に取得した不動産は、
原則として時価評価することが求められます。
取得時にすでに賃貸中であれば、
その取得価格が時価を反映していると考えられるため、
追加の評価減は不要とされます。
③二重評価減の回避
取得価格に賃貸状況が反映されているにもかかわらず、
さらに貸家建付地評価を適用すると、
二重に評価減を行うことになり、適切ではありません。
ただし、取得後に賃料が大幅に下落するなど、
取得時と評価時で状況が著しく変化している場合は、
個別の事情を考慮して判断する必要があります。
(2)取得時に賃貸していなかった場合
一方、会社が3年以内に取得した不動産が、
取得時点では賃貸されておらず、
その後に賃貸を開始した場合は、
評価減を適用できる可能性があります。
更地や自用地として取得した後に賃貸を開始した場合、
その価値の変化を評価に反映させることが適切です。
価値の変化を無視することは、適切な評価とは言えないためです。
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