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遺言書と抵触する死因贈与や家族信託の優先順位は?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第198回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q 遺言書以外にも、自分の死後、
財産をどのように処分するかについて、
死因贈与契約や信託契約などでも定めることができます。
これらが遺言書の内容と抵触している場合には、
どちらが優先させるのでしょうか?

A
1. 遺言書と死因贈与契約の優先順位
(1)死因贈与契約とは
死因贈与契約は、贈与者と受贈者が生前に契約を結び、
贈与者の死亡によって効力が発生する契約です。
この契約は、不動産の仮登記が可能であることや、
遺言書より形式が厳格ではないことがメリットです。
一方で、契約の解除には双方の合意が必要であり、
負担付契約の場合には撤回が難しい場合もあります。

(2)優先順位の判断
遺言書と死因贈与契約が両方存在し、
内容に矛盾がある場合、作成日が新しい方が優先されます。
つまり、どちらが後に作成されたかによって、
どちらが有効となるかが決まります
。例えば、死因贈与契約を結んだ後に遺言書を作成し、
その内容が死因贈与契約と矛盾する場合、
遺言書が優先されます。

2. 遺言書と信託契約の優先順位
(1)信託契約の遺言的機能
信託契約には、遺言書と同様に財産を特定の人に相続させる機能があります。

遺言代用信託とは、本人が自分の財産を信託して、
生存中は本人を受益者とし、お亡くなりになった後は、
配偶者や子などを受益者と定めることによって、
相続後の財産の分配を信託によって実現するものです。

(2)信託契約より前に遺言書が作成された場合
遺言書を作成した後に信託契約を締結した場合、
信託契約が優先されます。
これは、遺言書は後から変更や取り消しが可能であるため、
信託契約によって、遺⾔の内容と⽭盾をする部分について、
遺⾔のみなし撤回(⺠法第1023条2号)が⽣じるためです。

したがって、信託契約の内容が優先されます。

(3)信託契約より後に遺言書が作成された場合
信託契約を締結した後に遺言書を作成した場合、
遺言書が信託契約と矛盾する部分についても、
信託契約が優先されます。

信託契約により信託財産とした財産は、
本人名義の財産から離れ、受託者名義の信託財産となります。
信託された財産は、本人の財産ではないため、
遺言の対象外の財産となるため、遺
言の効力は信託財産に及ばないのです。

したがって、
信託契約の内容が優先されます。

3. まとめ
死因贈与契約とは作成日によって優先順位が異なります。
しかし、作成日によらず信託契約は遺言書よりも優先することになります。
内容が重複するとトラブルの元となります。
専門家に相談しながら準備するようにしましょう。

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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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