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【第420回】
保険×不動産マイスター津曲(つまがり)が贈る   ~個人事業主か法人化か? 考えるヒント~③

~個人事業主か法人化か? 考えるヒント~

今月号は、保険×不動産マイスター
津曲(つまがり)巖(いわお)より、お届けさせていただきます。

前回は、「個人事業主」としての「大家さん業」での「
所得税率」面からみてきましたが、いかがだったでしょうか。

例えば、「課税所得」1,000万円の場合で「所得税」を計算してみると、
*個人事業主の場合の所得税は、1,764,000円・・・・・①
*法人の場合の所得税は、1,664,000円・・・・・・・・②
①ー②=10万円となり、法人成りするだけで、
10万円も税金を低くできます。

では、同じ「売上」の場合はどうでしょうか。
この場合、「経費」にできる部分が多いほど
「課税所得」が低くできます。

そこで、3回目の今回は、個人事業主としての「経費」と法人化した場合の
「経費」についてみていきましょう。

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● 個人事業主として「経費」にできるもの・できないもの
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大家さんが、個人事業主としての経費にできるものは、
事業を行う上で発生した支払い全てです。
ただし、自宅で事業をしている場合、
事業で使用した部分とプライベートで使用した部分は別々に
計算しなくてはなりません。
(家事按分という考え方をします。)

例として確定申告書に記載されている
「勘定科目」に基づいて「経費」にできるものは次の表の通りです。

上記の通り、その事業に関する支払はほぼ経費として
計上することができますが、
事業に関係ないもの、事業主自身への支払いは
「経費」にできません。
具体的には、
①個人事業主本人への給与(そもそも給与の概念はありません)、
国民年金、健康保険料等
②個人事業主には「福利厚生」の概念もないので、
個人事業主自身の健康診断、人間ドックの費用
③個人事業主の借入金返済、住宅ローン
(一部認められるケースあり)、出張手当などです。

よくある質問に「経費はどれくらいまでOKか?」
「売上を上回る経費はOKか?」があります。
答えは、どちらもOK!!ただし、
社会通念上を大きく逸脱した場合は、
認めらえれないケースもあり得ます。

たとえば、売上100万円に対して、
旅費交通費+飲食代=100万円のようなケースでは、
旅費交通費の中身(ファーストクラスの利用など)、
飲食代(だれとどのような場所での飲食か必要不可欠な飲食かなど)
問題視される場合があります。

実際の税務調査の経験から、私的見解で恐縮ですが。
個人事業主の大家さんとしての「経費率(経費÷売上)」
は60%~80%(大規模修繕などあった年など100%超もありますが)
程度がおおむね妥当なラインかと思われます。

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● 法人として経費できるもの(損金算入)・できないもの(損金不算入)
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法人化した場合、その組織形態
(株式会社か合同会社等)によらず、経費
(損金算入)にできるものは、
個人事業主の経費にできるものに加えて、
次のようなものが含まれます。

①役員報酬(一定の条件のもと)
②従業員への給与、福利厚生費
③生命保険料
ただし、前回ふれたように、
「費用」のうち「損金」になるものとならないものが
定められている点です。
これを「損金不算入」と言います。その例として、
「交際費」は原則「損金不算入」ですし、
事前に届け出ていない「役員賞与」、
過大とみなされる「役員報酬」なども
「損金不算入」となります。

法人の方が、経費(損金算入)となる範囲も
金額も大きくなる場合が多いですね。
最終回は、法人化における形態、
合同会社か株式会社がよいかについて、考えます。

ABOUT ME
津曲巖
相続・事業継承・資産形成、運用コンサルティング専門の エムエスエフピー株式会社所属 03-6403-4117  大手不動産会社にて不動産の有効活用、相続対策、 資産形成コンサルティングを数多く手がける。 外資系金融機関にスカウトされ不動産と金融のプロとして活躍後、 総合的コンサルティングを手がけるため、 2002年FP会社を設立して独立。 相続資産コンサルタントとして相談、相続対策の実行支援業務、 セミナー研修講師として全国で活躍中。 プロフィールの続きはこちら、http://ms-oya.or.jp/profile06/
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