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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第386回】不動産鑑定士・住宅診断士
皆川 聡が斬る!①

住宅診断と耐震診断

こんにちは、不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。
今月4回分のコラムを担当させていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

今回は、住宅診断と耐震診断についてお伝えさせていただきます。

住宅診断および耐震診断は、
不動産の取引、保有、そして維持管理において
極めて重要なプロセスとして位置づけられます。
これらの診断を通じて、住宅の現状を詳細に把握し、
将来にわたってその安全性と機能性を確保するための
重要なステップが踏まれます。
特に、建築の専門家や技術者の間では、
これらの診断の違いとそれぞれが果たす役割の理解が不可欠です。
ここでは、それぞれの診断の目的、内容、
そして実施される背景について、
より専門的かつ詳細に解説いたします。

住宅診断(ホームインスペクション)
住宅診断は、
一般的に物件の購入前後に実施される包括的な評価プロセスです。
この診断の主な目的は、物件の全体的な状態を把握し、
将来必要となるメンテナンスや修理、改修の必要性を明らかにすることです。
診断の範囲は広範にわたり、
電気システム、配管、屋根、外壁、内壁、床、窓、ドア、
さらには暖房や冷房システムなど、
住宅の各構成要素が詳細に調査されます。住宅診断は、
購入検討中の物件の真の価値を評価し、
購入者が見落とす可能性のある問題点を明らかにするために不可欠です。
また、このプロセスによって提供される客観的かつ詳細な情報は、
購入後の予期せぬ出費や問題を回避するための強力なツールとなります。

耐震診断
耐震診断は、建物の地震に対する耐久性を専門的に評価するためのプロセスです。
特に、地震リスクが高い地域に位置する建物において、
その構造的安全性を保証することは、
人命の保護および財産の損害を最小限に抑える上で極めて重要です。
耐震診断の主な焦点は、建物の基礎、柱、梁、壁などの
主要構造部材の評価にあります。
このプロセスでは、建物の設計、使用されている材料、建設方法、
そして過去の地震での損傷履歴などが詳細に検討されます。
診断の結果、耐震性に関する弱点が特定され、
それを補強するための具体的な提案が行われます。
このような耐震診断は、建物の安全性を向上させ、
地震発生時のリスクを低減させるために不可欠なステップです。

住宅診断と耐震診断の統合的役割
住宅診断と耐震診断は、建物の安全性と維持管理を保証するために
互いに補完的な役割を果たします。
住宅診断は、物件の購入者や所有者が建物の全体的な状態を把握し、
長期的なメンテナンス計画を立てる上で不可欠です。
これに対し、耐震診断は、
地震という特定の自然災害に対する建物の耐性を評価し、
必要に応じて安全性を向上させるための具体的な補強策を提案します。
住宅所有者、購入者、建築専門家にとって、
これらの診断を正確に理解し、
適切に活用することは、建物の安全性を確保し、
未来のリスクを効果的に管理するために不可欠です。
特に、地震リスクが高い地域では、
耐震診断の実施がさらに重要となり、
建物の耐震補強が人命を守り、財産を保護するための鍵となります。
これらの診断プロセスを通じて、
建築の専門家は建物の安全性と機能性を長期的に
保つための戦略を提案し、実施する責任があります。

以上、少しでも皆様のご参考になれば幸いです。

ABOUT ME
皆川聡
株式会社Aoi不動産鑑定 大手不動産鑑定会社に約8年従事し、メガバンク、政府系金融機関、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関の担保評価をメインに約2500件の案件を携わり、国際線ターミナルの評価の実績もあり。 退職後、平成27年4月に開業。 開業後は、税務対策の鑑定評価や裁判調停等の鑑定評価での多数実績。住宅診断を反映した鑑定評価にて、より清緻な鑑定評価を行っており、鑑定評価額だけではなく、皆様の建物の日ごろのメンテナンスのポイントなどもご提案し、ご好評をいただいております。また2020年10月には、相続税の還付請求にて、他の不動産鑑定士が国税不服審判所にて否認された案件を、その後当職が不動産鑑定を担当。圧倒的な不動産鑑定評価により、東京地裁において、国税庁との裁判で無事完全勝訴しております。
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