東京の中心で税務を叫ぶ 第126回コラム
おしどり贈与ってお得なの?
おしどり贈与ってお得なの?
についてお話します。
こんにちは!
今回は、おしどり贈与についてお話します。
下記のようなご質問を頂きました。
Q
店舗兼住宅(1階が店舗、2階が自宅)の土地と建物のうち、
持分1/2を妻に生前贈与しようと思います。
生前贈与する持分1/2にはおしどり贈与制度を適用しようと思いますが、
注意点はありますか。
A
通常は生前贈与を行うと、
基礎控除110万円を超えた金額に対して、贈与税が課されます。
ただし、婚姻期間が20年以上で、妻へ居住用不動産を贈与した場合は、
基礎控除のほかに、最高2,000万円まで控除することが
できる制度のことをおしどり贈与といいます。
おしどり贈与は、居住用部分に適用される制度なので、
今回のように、1階が店舗、2階が自宅の場合に適用できる部分は、
1/2と考えられます。
つまり、土地・建物のうち持ち分1/2を贈与をすると、
1/2×1/2=1/4とするのが原則です。
ただし、下記の規定があります。
「その贈与を受けた持分の割合が、
床面積割合により求めた店舗兼住宅等の居住の用に供している
部分の割合以下である場合において、
その贈与を受けた持分の割合に対応する店舗兼住宅等の部分を
居住用不動産に該当するものとして申告があったときは、
これを認めるものとする。」
つまり、「居住用 ≧ 贈与対象の持分」の場合には、
贈与対象全部を居住用と扱うという規定があります。
したがって、今回は
居住用部分1/2 ≧ 持分1/2ですので、
持分全体が居住用不動産に該当するものとして、
控除の対象にできることになります。
ただし、不動産を生前贈与する際には、注意点があります。
今回の目的が相続税の節税であるならば、
事前にご確認頂きたいのが、おしどり贈与せずに相続した場合に、
相続税がいくらくらいなるかという点です。
もし、相続税がほとんど発生しないのに、
おしどり贈与してしまうと、かえって損してしまう可能性があるからです。
おしどり贈与をすると、登録免許税、
不動産取得税、司法書士や税理士への報酬など、結構なコストがかかります。
将来相続税があまりかからないのに、
これらのコストをかけてまで生前贈与する必要はない可能性があります。
まずは、生前贈与する場合としない場合のシミュレーションを
おすすめいたします。
まとめ
①おしどり贈与は、最高2,110万円(2,000万円+110万円)
まで贈与税がかからずに贈与できます。
②将来発生する相続税よりも、
おしどり贈与によるコストの方が高い場合もあるので、
事前にシミュレーションしてみましょう。
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。