東京の中心で税務を叫ぶ 第127回コラム
売却した物件は減価償却する?しない?どっち?
売却した物件は減価償却する?しない?どっち?
についてお話します。
こんにちは!
今回は、売却した物件は、売却した年に、
減価償却するのか、しないのかについてお話します。
物件を売却した時の売却益は、譲渡所得となり、
不動産所得とは別で税金を計算します。
譲渡所得の計算でマイナスできるのは、取得費と譲渡費用です。
譲渡所得=譲渡収入-( 取得費+譲渡費用 )
取得費としてマイナスできるのは、
購入時に資産計上した金額です。
土地・建物の本体金額のほか、
仲介手数料など、資産計上した諸費用も含まれます。
このうち建物については、
毎年計上した減価償却費はすでに不動産所得の必要経費に計上済みのため、
譲渡所得の取得費とされるのは、
減価償却していない未償却部分の金額のみとなります。
では、売却する年については、
1月1日から売却するまでの期間の減価償却をしなければならないのでしょうか?
減価償却するのであれば、不動産所得の経費になるし、
減価償却しないのであれば、譲渡所得の取得費になります。
実は、減価償却とは、
その年の12月31日において有する減価償却資産について行うこととされています。
つまり、年の途中で売却し、12月31日まで保有していないものについては、
減価償却しないことが「原則」になります。
したがって、建物の未償却部分に含まれ、譲渡所得の取得費として、
譲渡収入からマイナスされることになります。
ただし、所得税基本通達49-54において、
年の途中で売却した場合は、
減価償却して不動産所得の必要経費に計上してもよいことになっています。
つまり、どちらでも自由に選択できることになります。
したがって、譲渡所得の税率と、
不動産所得などの総合課税の税率を比べて、
譲渡所得の税率の方が高ければ減価償却しない、
総合課税の税率の方が高ければ減価償却する、
というように有利な方を選択することができます。
まとめ
①売却した物件は、減価償却してもしなくても、どちらでもよいです
②税率を比べて有利な方を選択しましょう。
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。