東京の中心で税務を叫ぶ 第139回コラム
銀行が重視する指標「債務償還年数」って何?
についてお話します。
こんにちは!
今回は銀行が融資の際に重視する指標
「債務償還年数」についてお話します。
債務償還年数とは、簡単に言うと、
「今の残債を最短何年で返済できるか?」
という年数のことを言います。
銀行は、お金を貸した以上、
返してもらわないといけないですので、
会社の返済能力を知りたいと考えます。
この年数が短いほど、早く返済できるので、
返済能力が高いと言えます。
債務償還年数は、今の残債を、
その年のキャッシュフローで割り算して計算します。
「債務償還年数=残債÷キャッシュフロー」
キャッシュフローは、1年間の手残りのお金のことですが、
通常は厳密なものでなく、簡易的なものを使用します。
簡易的なキャッシュフローは次のように計算します。
「キャッシュフロー=営業利益(または経常利益)+減価償却費」
「営業利益」は、家賃収入から、
固定資産税、火災保険料、修繕費、減価償却費などを
差し引いた本業の利益です。
そこから、借入金利子を差し引いたのが、
「経常利益」で、通常発生する1年間の利益です。
ただし、このうち減価償却費は、
お金の支出を伴わない経費なので、
足し戻してあげると、
1年間のキャッシュフローが簡易的に計算できることになります。
債務償還年数は、大家さんの場合は、
20年以内が優良と言われています。
この年数を短くするには、
残債を減らすか、営業利益を増やすしかありません。
ただ、繰上げ返済などして、
無理に残債を減らそうとすると、
手元のお金がなくなってしまい、
目先の資金繰りが厳しくなってしまう可能性があるので、
余剰資金がない限りあまりおすすめしません。
したがって、やはり空室を減らして収入を増やし、
経費を無駄遣いしないで営業利益を増やすという
正攻法でいくしかないと思います。
ただし、この計算で使用する利益は、
通常は営業利益(経常利益)なので、
大規模修繕など一時的に発生する特別損失を差し引く前の利益です。
つまり、一時的に発生する経費をきちんと分けて経理して決算書を作ることにより、
営業利益(経常利益)が増え、
債務償還年数の計算で使用する簡易的なキャッシュフローが増えます。
その結果、債務償還年数が短くなる可能性があります。
まとめ
①債務償還年数の理想は、20年以内です。
②一時的な費用(特別損失)を区分して決算書を作成することで、
債務償還年数が短くなる可能性があります。
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。