東京の中心で税務を叫ぶ 第168 回コラム
配偶者居住権を生前に設定することはできるの?
配偶者居住権を生前に設定することはできるの?
について、お話しします!
こんにちは!
今回は配偶者居住権についてお話します。
配偶者居住権とは、
自宅の所有権と居住権(自宅に住む権利)を
分けて相続する制度です。
配偶者が自宅を相続する場合、
遺産分割のバランスを考慮すると
配偶者が自宅以外の預貯金を受取れなくなり
生活資金が不足してしまう状況に陥りがちでした。
そこで、所有権部分を子供に相続させ、
居住権部分を配偶者に相続させることで、
配偶者も預貯金を相続しやすくなりました。
配偶者居住権を第三者に対抗するためには、登記が必要です。
ただし、配偶者居住権は、
被相続人の死亡後でないと登記することはできません。
生前にできることとしては、
生前に死因贈与契約を結び、
仮登記するという方法があります。
配偶者は死因贈与契約に基づいて仮登記を申請することができます。
仮登記を行うことで、
配偶者居住権が存在することを第三者に対して示すことができます。
完全な権利を主張できるわけではないですが、
登記簿に記載があることで、
配偶者の知らないところで自宅が売却されることを防ぐ効果があると考えられます。
ただし、仮登記があったとしても、
相続開始時に配偶者がその建物に居住していなければ、
配偶者居住権は成立しません。
また、仮登記後に配偶者以外の者がその建物の共有持分を持つようになると、
配偶者居住権は成立しないため、本登記を行うことができなくなります。
仮登記を行う際には、登録免許税が必要です。
この税金は建物の評価額の1000分の1に相当しますが、
本登記を行う際に相殺されるため、無駄にはなりません。
仮登記を行うことで、
配偶者居住権の存在を第三者に示すことができます。
これにより、将来的に自宅の所有権が他の相続人に移転した場合でも、
配偶者は居住権の存在を主張できるため、
立ち退きを拒否することが可能になると考えられます。
また、相続人が自宅を売却したい場合でも、
仮登記があることで売却が困難になる可能性があり、
配偶者が住み続ける権利を守ることができます。
まとめ
①配偶者居住権は登記することで第三者に対抗できます。
②生前に正式な登記はできませんが、
仮登記しておくことで配偶者居住権を設定予定であることを
外部に示すことができます。
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