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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第270回】賃貸経営のプロ廣田 裕司が斬る!③

大家さんのための相続対策

こんにちは。廣田裕司です。

今回は、「大家さんのための相続対策」ついて前回の続きを書いていきます。

4.財産リストの作成

相続対策を考える上で最初に着手するのが、現状の財産をリストアップすることです。
毎年、5~6月は、固定資産税の課税明細が届く時期なので、
特に不動産をリストアップするにはよいタイミングだと思います。
リストは手書きでもよいのですが、
パソコンの表計算シートなどでまとめると、その後の編集が容易になります。
また、このリストは、自筆遺言書の財産目録として使用できます。
(2019年の法改正で、自筆遺言書で本文ではなく
財産目録としてパソコンで作成した財産目録が認められるようなりました。)
不動産のリストとして、所在地、地番、家屋番号(建物のみ)、
種類、面積、固定資産税、都市計画税はリストに載せます。
アパートやマンションなどの収益物件だけでなく、
自宅もあわせて所有している物件のもれなくリストアップします。
その他の金融資産などの財産もあわせてリストアップします。
リストアップされた財産を1件ごとに、残す財産なのか、
売却する財産なのかを決めます。併せて、
自分の財産に対する思いを整理しておきます。
財産のリストアップは手間のかかる作業です、
また、パソコンの作業に慣れていないとなお大変です。
一人でまとめようとせず、息子さんや娘さんなど、
相続する人と一緒に作業を進めるのが良いと思います。
一緒に作業することが、相続について話をするきっかけになると思います。
この機会に不動産や財産に対する思いを次世代へ伝えましょう。

5.財産の分析

作成したリストの財産ごとの価格を調べます。
不動産の場合の価格は、相続税を計算するための評価額と時価             (いくらで売れるか)の2種類の価格を調べます。そのほかの財産は、時価評価が基本となります。
価格は変動しますが、リスト作成時点の価格でまとめます。
次に財産を保有していることによる、収入、費用を記載します。
不動産の場合の収入は、家賃、地代で費用は管理費、修繕費、
固定資産税、都市計画税などです。その他の財産は、配当金、
金利などの収入や保管料などの費用を記載します。自宅に関しては、
収入がないと思いますが、保有するために、
管理費や修繕積立金などの費用は発生している場合もあり、
これらの費用ももらさず記入します。
財産の価格や収入、費用の調査は手間がかかりますが、
少し勉強すればできると思います。ここで調査する価格は、
精度にはあまりこだわらず、全体を把握することに注力します。
調査が難しいようであれば、
税理士、不動産コンサルタント、
ファイナンシャルプランナーなどの専門家に依頼することも可能です。

不動産に関しては、相続税の評価額と時価の差額が、
相続税の節税効果になります。

相続税評価額 ― 時価 < 0

となる場合に節税効果があります。
収入と費用は、財産の稼ぐ力を判断する指標になります。
リストにまとめた財産を、財産の価格や収入、
費用をまとめることにより、財産を客観的に評価する指標ができます。
この財産リストは一度作成して終了ではなく、
定期的に見直しをしていきます。

 

ABOUT ME
廣田裕司
〇空室相談、賃貸経営全般 有限会社丸金商事 取締役 合同会社アップ 代表社員 大学卒業後、メーカーに勤務、主に土木、建築資材営業 生産管理を経験。2001年に妻の実家の賃貸事業をベースに、有限会社丸金商事を設立。同社の取締役に就任し、(当時は兼業)賃貸経営の関わるようになる。2008年に相続により同社代表取締役に就任。翌2009年の会社を退職し専業となる。現在までに3回 新築物件(6棟、27戸)を手がけ、12棟90戸所有。2019年合同会社アップ設立。
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