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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第416回】ファイナンシャル・プランナー
駒﨑 竜が斬る!③

『国土交通省「不動産価格指数」を活用した賃貸経営のポイント』

こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
今月の特集では、一般公開されている不動産データを活用し、
賃貸経営に役立てる方法を解説いたします。

【タイトル】
不動産証券化協会「AJPI」を活用した賃貸経営のポイント

【本文】
賃貸経営の成功には投資用不動産の市場動向を把握し、
先を見据えた賃貸経営を行うことが大切です。その中で、
不動産証券化協会が公表する
「AJPI(ARES Japan Property Index)」は、
賃貸経営に役立つ貴重な指標ですので、
この指数の特徴と具体的な活用方法について考えてみましょう。

https://index.ares.or.jp/ja/ajpi/

AJPIとは?

AJPIは、国内不動産に投資を行うファンドが保有する
投資用不動産の運用実績を元にした不動産投資インデックスです。
投資インデックスは、ある投資期間内に、
実際に得られた賃料収入をベースとしたインカム(=NOI=純収益)と
保有不動産価格(外部鑑定評価額)の
変動をベースとしたキャピタルの多数の
データをインカム・リターンと
キャピタル・リターンを加重平均して指数化しています。
(2001年12月31日=1000)

この指数は、以下の3つの主な要素で構成されています。
1.インカムリターン:賃料収入から得られる収益を示す指標
2.キャピタルリターン:物件価格の変動による利益を示す指標
3.トータルリターン:上記2つを合算した総合的な収益性

AJPIは、地域や物件のアセットタイプ
(オフィス、商業施設、住宅など)
ごとに毎月公表されていますので、詳細な市場分析ができます。

1. 市場の収益性分析
AJPIは、不動産市場の収益性を把握する上で非常に有効です。
特にインカムリターンの
獲得を目指すファンドが保有する
不動産が対象となりますので、
賃料収入に基づく投資利回りを把握するための
重要な指標となります。
例えば、住宅用途(レジデンス)の
不動産が安定したインカムリターンを示している場合、
賃貸経営における安定経営が期待できる
エリアとして注目ができます。

2. 物件購入・保有の判断基準
AJPIのキャピタルリターンを参考にすることで、
価格変動リスクを見極めることができます。
価格上昇が続いている地域やアセットタイプでは、
早期に購入することで将来的な
キャピタルゲインを狙えますし、
保有していれば賃料のアップサイドを狙えます。
一方、価格下落の兆候がある場合には、
賃貸収益が十分であれば保有を継続しつつ、
売却のタイミングを慎重に
検討することが求められます。

3. エリア選定の指針
AJPIは地域別のデータも提供しており、
エリアごとの投資パフォーマンスを
比較するのに役立ちます。
東京都心3区(千代田・中央・港区)、
東京23区(都心3区含む)、
名古屋市、大阪市、
福岡市のレジデンスや商業ビルなどが対象です。
例えば、地方都市の賃貸市場が上昇トレンドにある場合、
その地域での投資を検討する材料となります。
また、インカムリターンと
キャピタルリターンのバランスを考慮することで、
長期的な安定収益を期待できるエリアを選定できます。

4. リスク管理の向上
市場全体のトータルリターンの動向を追うことで、
経済状況や金利変動に伴う
不動産市場のリスクを把握できます。
不動産市場が下落傾向にある際には、
新規投資を控え、
保有物件の運用効率を高める施策を
優先することが適切です。

不動産証券化協会が提供するAJPIは、私募ファンド、
私募REIT、J-REITが保有する実物不動産の
収益の実績値に基づく精度の高いデータです。
これらを通じて、
日本の不動産市場を深く理解し、
投資リスクを抑えながらの賃貸経営が
可能になります。
不動産市場は常に変動しますが、
AJPIのようなデータを活用することで、
より確実な経営判断ができるでしょう。
不動産投資家として、
ぜひこの指標を積極的に活用してください。

ABOUT ME
駒﨑竜
駒﨑 竜(Komazaki Ryu) 経済力コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー エターナルフィナンシャルグループ(株)  代表取締役 エターナルウェルスマネジメント(株) 代表取締役 一種外務員、貸金業務取扱主任者、 二級FP、損害保険大学、生命保険大学 マネーの達人・週刊ダイヤモンド・価格ドットコム・KINZAI・ 不動産日記(税金の手引き)・税の知識(相続贈与)・ 住宅新法(事業資金調達)・住宅ローンアドバイザー通信など、 専門家としての執筆、監修をしている。
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