~分譲マンション投資の魅力~
分譲マンションを投資目的で購入する際、
多くの方が間取りや立地、利回りに注目しがちです。
しかし、見落としがちな重要ポイントが「駐車場」に関する管理規約です。
今回は、購入前に必ず確認しておくべき
駐車場関連の管理規約のチェックポイントを解説します。
1. 賃借人が駐車場を借りられるかどうか
最初に確認すべきは、
「入居者(賃借人)が敷地内駐車場を利用できるかどうか」です。
多くのマンションでは、
駐車場の利用権は区分所有者(オーナー)のみに認められており、
賃借人は利用対象外となっています。
これは国土交通省が示す「マンション標準管理規約」でも、
駐車場使用者は区分所有者に限定する形が基本となっているためです。
ここには「専有部分を他人に貸与したときは、
当該区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う」と定められています。
つまり、オーナー自身が駐車場を契約していたとしても、
その部屋を賃貸に出した時点で駐車場の使用契約も終了してしまうのです。
もちろん、管理規約によっては賃借人の
駐車場利用を認めているケースもあります。
ただし、その場合でも契約名義はオーナーとし、
賃借人が直接契約することは認めない運用が一般的です。
2. 機械式と平置き、形式による違いを把握する
駐車場の形式が「機械式」か「平置き」かによって、
運用上の注意点も変わってきます。
機械式駐車場は、限られた敷地で多くの駐車台数を確保できる反面、
毎月の保守点検や定期メンテナンス費用がかかります。
長期的には数千万円単位の修繕更新費用も必要となり、
管理組合の財政を圧迫しやすい傾向があります。
利用者が減少しても固定費は減らないため、
空き区画が増えると収支バランスが崩れ、
外部への貸し出しを検討するマンションも出てきています。
また、機械式駐車場には車両サイズや重量の制限があります。
空き区画があっても、
入居者の車両が入庫可能なサイズかどうかを
事前に確認しておく必要があります。
一方、平置き駐車場であればサイズ制限は比較的緩く、
入出庫の手間も少ないというメリットがあります。
3. 駐車場使用権の種類を理解する
マンションの駐車場には、
利用権の位置づけにいくつかのパターンがあります。
代表的なものは「専用使用権」「抽選制」
「管理組合との使用契約」の3つです。
(1)専用使用権
専用使用権とは、共用部分である駐車場の特定区画を、
特定の区分所有者が排他的かつ継続的に使用できる権利です。
これは管理規約や分譲時の取り決めで定められるもので、
その権利は当該住戸の付帯設備のような扱いとなります。
専用使用権付き駐車場の場合、バルコニー等の専用使用部分と同様に、
オーナーは賃借人に規約遵守を条件としてその専用部分を使わせることができます。
ただし、第三者への譲渡・転貸は禁止されているのが通例です。
(2)抽選制
抽選制は、駐車区画数が住戸数に足りない場合に公平を期すため導入される方式です。
一定期間ごと(例えば1〜2年ごと)に利用者を抽選で決定します。
原則として応募できるのは区分所有者のみで、賃借人には応募資格がないケースが多く見られます。
仮に「賃借人も利用可」としている場合でも、優先順位は低く設定されているのが通常です。
(3)管理組合との使用契約
空き区画がある場合に、管理組合が各希望者と個別に賃貸借契約を結んで貸し出す方式です。
これが最も一般的な形態ですが、
契約者は原則として区分所有者本人であることが求められます。
オーナー自身が居住しなくなると契約継続できない仕組みであり、
賃貸に出す際は一旦その契約を管理組合へ返上しなければなりません。
現在オーナーが使用契約している駐車場付きのマンションでも、
それをそのまま「賃借人に引き継がせる」ことはできない点に注意が必要です。
4. 管理組合の駐車場運営ポリシーを確認する
各マンションの管理組合によって、駐車場運営の方針には違いがあります。
まず基本方針として、多くのマンションでは
区分所有者しか敷地内駐車場を借りられない規定になっています。
区分所有者以外が勝手に出入りすることによるトラブル防止や、
区分所有者間の公平性確保の観点によるものです。
ただし現実には、賃貸に出される住戸の増加や駐車ニーズの減少に伴い、
「空いているなら入居者や外部にも貸した方がいいのでは」という議論も出てきており、
規約を変更して賃借人や近隣住民への貸出しを認めるケースも増えています。
外部への貸出しについては、原則禁止ですが空き対策で解禁の動きもあります。
購入検討時には、そのマンションの総会議事録や管理規約改定履歴を確認し、
駐車場に関する方針(例えば「○年○月に賃借人利用可に規約変更」等)が
議論・実施された形跡がないか調べると良いでしょう。
5. まとめ
投資物件としてマンションを購入する際は、以上のポイントを踏まえ、
駐車場に関する条件やリスクを把握した上で運用計画を立てることをお勧めします。
駐車場という「おまけ」と思われがちな要素こそ、
賃貸運用の成否を左右する重要な要素なのです。



