~分譲マンション投資の魅力~
修繕履歴は「建物のカルテ」であり、決算書に基づく信頼性の高いデータです。
今回は、取得した修繕履歴を実際に
どう読み解けばよいのか、
具体的なチェックポイントを解説していきます。
1.2種類の修繕を理解する
修繕履歴を読み解くうえで、
まず区分マンションにおける修繕には
2種類あることを理解しておきましょう。
1つ目は、長期修繕計画に基づく修繕です。
こちらは主に「予防修繕」と呼ばれるもので、
壊れたり使えなくなったりする前に、
計画的に修理や交換を行う工事のことです。
外壁の再塗装、屋上防水、給排水管の更新などが
これにあたります。
この修繕費は、通常は修繕積立金会計から支払われます。
2つ目は、事故や災害など突発的に
起こった破損などに対する修繕です。
台風で共用部のガラスが割れた、
漏水が発生したといった、
予期せぬ事態への対応です。
この修繕費は管理費会計から支払われます。
管理費会計は日常的な運営にかかる経常的な支出を担当する会計で、
修繕積立金会計は計画修繕の支出を担当する会計です。
修繕履歴を確認する際には、
この2つの会計の修繕内容が
それぞれ記載されている点を認識しておくと、
より深く履歴を読み解くことができます。
2.突発的な修繕の有無をチェックする
修繕履歴を見るとき、
まず注目すべきは突発的な修繕の有無です。
事故や災害による突発的な修繕が多いマンションは、
管理状態に問題がある可能性があります。
もちろん、台風や地震など避けられない自然災害はありますが、
それ以外の原因で頻繁に
突発的な修繕が発生している場合は注意が必要です。
たとえば、漏水事故が繰り返し発生している場合、
防水工事や配管の劣化対策が適切に
行われていない可能性があります。
また、設備の故障が頻発している場合は、
日常的な点検やメンテナンスが
不十分かもしれません。
特殊な事故やトラブルが記載されている場合は、
その原因も確認しましょう。
原因が明確で、再発防止策が講じられていれば
問題ありませんが、同様のトラブルが繰り返されているようであれば、
管理体制に構造的な問題がある可能性を疑う必要があります。
3.修繕積立金の使い方を確認する
修繕積立金会計からの支出が適切かどうかも、
重要なチェックポイントです。
修繕積立金は、本来、長期修繕計画に
基づく計画修繕のために積み立てられているお金です。
しかし、管理組合の運営がずさんな場合、
修繕積立金が本来の目的以外に流用されていることがあります。
たとえば、管理費会計が赤字になった際に、
約に反して修繕積立金から補填している、
あるいは長期修繕計画にない工事に
修繕積立金を充当しているケースがあります。
こうした本来想定外の支出が続くと、
いざ大規模修繕が必要になったときに
修繕積立金が不足し、
一時金の徴収や借入に頼らざるを得なくなるリスクが高まります。
修繕履歴と決算書を照合し、
修繕積立金が計画どおりに使われているかを確認することで、
管理組合の財務規律を見極めることができます。
4.修繕履歴と長期修繕計画の整合性を確認する
修繕履歴が長期修繕計画と
一致しているかを確認することも大切です。
長期修繕計画には、「築○年目に○○工事を実施する」
という予定が記載されています。
この計画どおりに修繕が実施されているかどうかを、
修繕履歴と照合して確認しましょう。
計画どおりに修繕が行われているマンションは、
管理がしっかりしている証拠です。
理事会や管理組合が機能しており、
計画を着実に実行する体制が整っていると判断できます。
一方、計画では実施予定だった修繕が先送りされている、
あるいは計画にない工事が突然実施されているといった場合は、
管理組合の運営に問題がある可能性があります。
計画の先送りが続くと、建物の劣化が進行し、
将来的により大きな費用がかかることになりかねません。
また、計画と実績の金額差も確認しましょう。
計画よりも大幅に高い金額で工事が実施されている場合、
見積もりの精度が低いか、
工事業者の選定プロセスに問題がある可能性があります。
逆に、計画よりも極端に安い金額で
工事が行われている場合は、
工事の質に問題がないか注意が必要です。
5.まとめ
修繕履歴を読み解く際のポイントは、
単に「どんな工事が行われたか」を確認するだけではありません。
計画修繕と突発修繕の区別を理解したうえで、
突発的な修繕の頻度、修繕積立金の使われ方、
長期修繕計画との整合性という
3つの視点から分析することが重要です。



